2014 Fiscal Year Annual Research Report
新規遺伝子発現・mRNA品質管理システム『mRNAポリA鎖制御系』の全容解明
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25291004
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
星野 真一 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (40219168)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細田 直 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 講師 (40438198)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | mRNA分解 / 遺伝子発現 / 品質管理 / ポリA鎖 / 翻訳 |
Outline of Annual Research Achievements |
①増殖シグナルによるc-myc mRNA特異的ポリA鎖分解抑制と遺伝子発現上昇のメカニズム:c-myc mRNAの3'UTRに配列特異的なRNA結合蛋白質CPEBが結合し、Tobを介してポリA鎖分解酵素Caf1をリクルートすることで負の発現制御がはたらいている。血清刺激によりTobはCPEBより解離し、c-myc mRNAの速やかな分解は抑制され、c-mycの発現レベルは上昇する。このTo-CPEB相互作用がTobのリン酸化により制御されるかどうかについて検討した。増殖刺激によりMAPキナーゼを介してリン酸化を受けることがすでに知られているTobのSer残基(152/154/164)をAlaに置換した非リン酸化型Tobおよびグルタミン酸に置換したリン酸化型Tobを作製し、Tobとの相互作用について検討したところ、野生型、非リン酸化型、リン酸化型のいずれの場合においてもCPEBとの結合は同様に観察された。また、非リン酸化型Tobにおいても血清刺激によるCPEBからの解離が観察された。従って、増殖刺激によるTobとCPEBの解離には、TobのSer残基(152/154/164)以外の修飾が関与する可能性が明らかとなった。 ②NMDA刺激によるグルタミン酸受容体GluR2発現のメカニズム:ヒト神経芽細胞種由来SK-N-SH細胞を用い、NMDA刺激時におけるCPEB3-Tobの相互作用について免疫沈降法により検討した。NMDA刺激時においてこの相互作用に変化は認められず、TobとCaf1との結合への影響が強く示唆された。 ③統合失調症関連因子hnRNPA1 mRNAのポリA鎖伸長による遺伝子発現の正の調節:スプライシング制御因子であるhnRNPA1のmRNAをレポーターとして、新規ポリA鎖制御系による調節のメカニズムを解析した。hnRNPA1の3'UTRにはRNA結合蛋白質QKIの結合配列QREが存在するが、このシス配列に依存してhnRNPA1のポリA鎖伸長が制御されていることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度においては、癌抑制遺伝子p53転写産物のポリA鎖伸長による遺伝子発現制御についても検討する予定であったが、GluR2およびhnRNPA1の研究課題が計画した以上に時間を費やし着手することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
血清刺激に伴うTobとCPEBの結合解離の原因となるリン酸化部位の同定等、質量分析を含めた新しい解析手法を導入する必要性が生じたことから、来年度以降は当初計画を一部変更して進める。
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Research Products
(15 results)