2013 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質膜透過・膜挿入に必須の糖脂質酵素MPIaseの構造と機能
Project/Area Number |
25291009
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
西山 賢一 岩手大学, 農学部, 教授 (80291334)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | タンパク質間挿入 / MPIase / 大腸菌 |
Research Abstract |
タンパク質膜挿入反応は、全ての生物で保存された生命現象であり、シグナル認識粒子SRPやタンパク質膜透過チャンネルSecYEG、YidCタンパク質など多くのタンパク質性の因子により触媒される。我々は膜挿入の再構成系を確立して膜挿入反応の詳細な分子機構を明らかにすることを目的として研究を進めた結果、膜挿入反応にはMPIaseと命名した糖脂質が必須であることを見出した。MPIaseの構造を決定したところ、ジアシルグリセロールにピロリン酸を介して糖鎖が結合する構造を取っていた。MPIaseの構造は未知であったためMPIase生合成因子の探索を試みた。MPIase生合成の最初の段階はフォスファチジン酸(PA)にN-アセチルグルコサミン(GlcNAc)が結合する反応であると推定し、PAとUDP-GlcNAcに細胞質画分や内膜画分を加えたところ、膜画分に反応を触媒する活性が検出された。この活性を指標に種々のカラムクロマトグラフィーを行い精製を進めたところ、YnbBが同定された。YnbBは、リン脂質生合成に係わるCDP-ジアシルグリセロールシンターゼCdsAと高い相同性を示すタンパク質である。そこで、YnbBとCdsAをクローン化し、それらの過剰生産を試みた。YnbBやCdsAを過剰生産させた膜小胞では、MPIase生合成第一段階と考えられる反応が著しく促進されていた。現在、ynbB遺伝子やcdsA遺伝子破壊株の構築を進めており、MPIaseのin vivoでの膜挿入反応への関与を実証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
膜挿入反応に関与する糖脂質酵素MPIaseの生合成経路を推定し、実際に反応を行ったところ、期待通りの反応が膜タンパク質依存で検出することができた。その因子を精製し、因子の同定までは完了したが、YnbBやCdsAは非常に疎水性の強いタンパク質であったため、完全に精製された標品を用いて反応を再現するところまでは至らなかったため、「おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
MPIase生合成に関与する可能性が強いことが判明した2この遺伝子、ynbB遺伝子、cdsA遺伝子のうち、cdsA遺伝子は生育に必須の遺伝子であった。そのため、現在cdsAあるいはynbBの発現が厳密に制御できるベクターを構築し、これらの存在下でcdsA遺伝子破壊を行い、両因子の枯渇株を構築する。この株を用いてMPIaseのin vivoでの機能を解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本計画により雇用する研究員の研究が早期に終了し、他の計画における研究に移行したため。 新しい研究員を雇用し、研究をより精力的に推進する。
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Research Products
(8 results)