2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25291023
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
嘉村 巧 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40333455)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥村 文彦 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (00507212)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 癌 / 蛋白質分解 |
Research Abstract |
家族性腫瘍症候群VHL病の原因因子として同定されたVHLは、ユビキチンリガーゼ(E3)として機能し低酸素誘導性転写因子HIF-alphaをユビキチンープロテアソーム系依存的に分解に導く。VHLが不活性化しこの機構が破綻することが、VHL病発症の一因であることが知られている。しかしながら、VHL病は多彩な病態を示すことより、まだ未同定の発症メカニズムがあることが考えられている。われわれはVHLの新たな機能解明を目的としてVHLと相互作用する因子の同定を免疫沈降法及び質量分析法を用いて行い、B-MybをVHLの新規基質として同定した。B-Mybは細胞周期依存的に発現制御を受ける転写因子でありS期に発現が最大となるB-Mybの活性化は、細胞周期の亢進を引き起こし、恒常的な活性化は細胞のガン化に寄与していると考えられている。そこでわれわれは、VHLによるB-Myb分解の分子機構解明を生化学的および細胞生物学的手法を用いて進めている。まずVHLとB-Mybを哺乳類培養細胞293Tに過剰発現させ、プロテアソーム阻害剤存在下で、免疫沈降法を行うことにより、両者が結合することを明らかにした。次にVHL、ElonginB、ElonginC、Cul2およびRbx1からなるCRL2VHL E3複合体をバキュロウイルス発現系を用いて精製した。ユビキチン化反応に必要な酵素E1とE2そしてユビキチンさらにATPを加えB-MybとE3複合体を反応させることにより、試験管内でB-Mybへのユビキチン化反応を起こすことができることを明らかにした。さらには過剰発現を用いた実験でVHLによりB-Mybの安定性が制御されていることも明らかにした。この研究の進展によりVHL病発症メカニズムの更なる解明が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
VHL病は多彩な病態を示すことより様々な原因があることが予想される。本研究ではVHLと相互作用する新たな因子としてB-Mybを同定し解析を進めている。B-Mybの恒常的活性化は癌化を引き起こすと考えられている。現在までにVHLとB-Mybの結合、VHLによるB-Mybの試験管内ユビキチン化反応の促進、細胞内でのVHLによるB-Myb分解の促進を明らかにしていることから、研究はおおむね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
VHLによるB-Myb分解の分子機構を生化学的および細胞生物学的解析により進めていく。生理的条件下でのVHLとB-Mybの結合を検討する。VHLが不活性している細胞株786O細胞にVHLを再導入することによりB-Mybの安定性が変化するかどうかを検討する。VHLの基質として報告されているHIFは酸素濃度依存的にVHLに分解されることを知られているが、B-MybのVHL依存的分解にも酸素濃度が関与するかどうかを検討する。これらの研究を進めてVHLによるB-Myb分解の分子機構を明らかにしていく
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究打ち合わせや成果発表のための旅費や人件費・謝金への経費を予定していたが、これらを執行しなかったために、次年度使用額が生じた。 哺乳類細胞や昆虫細胞を培養するために培地、シャーレ、血清が必要である。また免疫沈降やWestern blottingのための試薬やPVDF膜が必要である。E3や基質に対する発現ベクターを作製するためのプライマー、PCR試薬や制限酵素が必要である。作製した発現ベクターを細胞に導入するための試薬や抗生物質が必要である。E3や基質に対する抗体が必要である。E3と基質に制御される生命現象を解明するために細胞周期を同調させる試薬やDNA損傷を起こす薬剤などが必要である。本研究で得られた成果を広く発信するためには、分子生物学会など国内の学会参加に伴う旅費は必須である。また、本研究を遂行するに当たり幅広い分野の方々からご助言をいただくことが必要になるため研究打ち合わせのための旅費は必須である。研究成果を発表するためには論文の英文校正は必須であり、出版に伴う費用も必須である。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Integrated molecular analysis of clear-cell renal cell carcinoma2013
Author(s)
Sato Y1, Yoshizato T, Shiraishi Y, Maekawa S, Okuno Y, Kamura T, Shimamura T, Sato-Otsubo A, Nagae G, Suzuki H, Nagata Y, Yoshida K, Kon A, Suzuki Y, Chiba K, Tanaka H, Niida A, Fujimoto A, Tsunoda T, Morikawa T, Maeda D, Kume H, Sugano S, Fukayama M, Aburatani H, Sanada M, Miyano S, Homma Y, Ogawa S.
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Journal Title
Nature Genetics
Volume: 45
Pages: 860-867
DOI
Peer Reviewed
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