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2014 Fiscal Year Annual Research Report

インテグリンとそのリガンドによる細胞機能制御の分子機構

Research Project

Project/Area Number 25291026
Research InstitutionOsaka University

Principal Investigator

関口 清俊  大阪大学, たんぱく質研究所, 教授 (50187845)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 山田 雅司  大阪大学, たんぱく質研究所, 助教 (90304055)
Project Period (FY) 2013-04-01 – 2016-03-31
Keywords細胞外マトリックス / 細胞接着 / 幹細胞 / 細胞増殖 / ニッチ
Outline of Annual Research Achievements

①polydomコンディショナルノックアウトマウスの骨髄から間葉系幹細胞を分離し、タモキシフェン処理によってpolydomの発現を抑制した細胞を作出し、その増殖能を検討した。具体的には、既に作製済みのpolydomfl/flマウスとCAG-CreERT2マウスを交配して、CreERT1; polydomfl/flマウスを作製し、このマウスの骨髄から間葉系幹細胞を分離した。この細胞にタモキシフェンを投与し、polydomの発現を欠失させると、細胞の増殖が著明に低下することがわかった。この点をさらに検証するため、polydomを高発現しているマウス間葉系細胞OP9を用いて、polydomが間葉系幹細胞の増殖に及ぼす影響を調べた。siRNAを用いてpolydomの発現を抑制すると、OP9細胞の増殖は有意に低下した。一方、培地の精製したpolydomを添加すると、OP9細胞の増殖の亢進が観察された。以上の結果は、polydomが間葉系幹細胞の増殖を正に制御することを強く示唆している。
②これまでのpolydom欠失マウスの表現型の解析から、polydomは集合リンパ管の形成に関与することが推定されている。この原因を明らかにするため、リンパ管形成に関わる様々な転写因子の発現をpolydom 欠失マウスと対照のマウスの間で比較検討した。その結果、polydom欠失マウスではFoxc2の発現が有意に低下していることがRT-PCRによる発現解析およびFoxc2抗体を用いた免疫組織染色から明らかとなった。Foxc2欠失マウスはpolydom 欠失マウスと非常に類似したリンパ管形成不全を呈することが知られており、polydomはFoxc2の発現を介してリンパ管形成を制御していると考えられる。また、リンパ管形成におけるpolydomの役割をさらに検証するため、polydomの発現を欠失させたゼブラフィッシュを作製した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

当初の予想に反してpolydomは細胞の増殖を負に制御するのではなく、正に制御することが今年度の研究から明らかになった。polydomは間葉系幹細胞に高発現しているが、その機能の一つが間葉系幹細胞自身の増殖制御にあると考えられる。この知見はpolydomの新たな機能を明らかにした点で大きな意義がある。また、polydomノックアウトマウスの解析から、polydomがFoxc2の発現制御を通じてリンパ管の形成に関わることが明らかとなった。polydomのノックアウトマウスは重篤な浮腫を発症して、出生直後に死亡することがこれまでの研究からわかっているが、その原因はリンパ管形成を制御する転写因子Foxc2の発現低下によると考えられる。この新たな知見はpolydomの機能解明に貢献するだけでなく、リンパ管形成の新たな制御機構を明らかにした点で重要な意味がある。また、ゼブラフィッシュのpolydom欠失変異体の作出に成功し、マウスと同様、リンパ管形成不全がみられることを見いだした。これにより、リンパ管形成におけるpolydomの機能は種を越えて保存されていることが確認された。このように当初の計画を越えた成果が順調に得られつつあり、残り一年でさらにpolydomの機能解明が進むことが期待される。

Strategy for Future Research Activity

polydomの機能を(i)間葉系幹細胞の増殖制御機構、(ii) リンパ管形成の制御機構に焦点を絞って解析を進める。間葉系幹細胞の増殖制御機構に関しては、そのターゲット分子の同定が重要な課題である。polydomはインテグリンα9β1の高親和性リガンドであることが既に明らかにされているが、間葉系幹細胞の増殖制御機構にインテグリンα9β1が関与するかどうかをまず検討したい。もしα9β1の関与が示された場合は、α9β1の下流のシグナル分子の同定が次の課題となる。α9β1が関与していない場合は、polydomと相互作用するターゲット分子のスクリーニングが必要となろう。リンパ管形成における機能解明においても、polydomの下流で転写因子Foxc2の発現を誘導するターゲット分子の同定が重要な課題である。これまでに知られているリンパ管形成関連分子を中心に、候補分子の同定を進めたい。

Causes of Carryover

Jackson Laboratoryから購入を予定していたpolydom遺伝子ノックアウトマウスの納品が予定よりも遅れたため、その解析が次年度に繰り越されたため。また、それに伴って凍結精子の作製の委託が遅れ、その支払いが次年度に繰り越されたため。

Expenditure Plan for Carryover Budget

上記のように、次年度使用額はJackson Laboratoryから購入されたpolydom遺伝子ノックアウトマウスを用いた解析(マウスの繁殖・維持にかかる費用、解析に要する遺伝子発現解析、免疫組織化学的解析等)に使用するとともに、本年度内に実施できなかったpolydomノックアウトマウスの凍結精子の作製に充てる。

  • Research Products

    (5 results)

All 2014

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (3 results)

  • [Journal Article] Isolation and characterization of sweat gland muyoepithelial cells from human skin.2014

    • Author(s)
      Kurata, Y., Futaki, S., Nakano, I., Tanemura, A., Murota, H., Katayama, I., and Sekiguchi, K.
    • Journal Title

      Cell Struct. Funct.

      Volume: 89 Pages: 101-112

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] In situ detection of integrin ligands.2014

    • Author(s)
      Kiyozumi, D., Sato-Nishiuchi, R., and Sekiguchi, K.
    • Journal Title

      Curr. Protoc. Cell Biol.

      Volume: 65 Pages: 19.1-19.17

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 基底膜ラミニンによるインテグリンおよびテトラスパニンを介した上皮細胞機能制御2014

    • Author(s)
      山田雅司、関口清俊
    • Organizer
      第87回日本生化学会大会
    • Place of Presentation
      京都
    • Year and Date
      2014-10-16
  • [Presentation] The C-terminal Glu Residue of laminin γ1 chain that is essential for integrin binding is positioned at the junctional region of G1 and G2 domains of laminin-5112014

    • Author(s)
      Taniguchi, Y., Toga, J., Yagi, E., Norioka, N., Iwasaki, K., Sekiguchi, K.
    • Organizer
      American Society of Matrix Biology 2014
    • Place of Presentation
      Cleveland, USA
    • Year and Date
      2014-10-13
  • [Presentation] Polydom is an extracellular matrix protein involved in lymphatic vessel remodeling2014

    • Author(s)
      Morooka, N., Futaki, S., Sato-Nishiuchi, R., Nakano, I., Sekiguchi, K.
    • Organizer
      The 18th International Vascular Biology Meeting
    • Place of Presentation
      京都
    • Year and Date
      2014-04-13

URL: 

Published: 2016-06-01  

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