2014 Fiscal Year Annual Research Report
超解像1分子イメージング解析法の開発による細胞分子動態制御のナノ定量
Project/Area Number |
25291032
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
徳永 万喜洋 東京工業大学, 生命理工学研究科, 教授 (00192659)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 生物物理 / バイオイメージング / 細胞情報・動態 / 超解像顕微鏡 / 生体分子計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
光学顕微鏡における超解像イメージングが、従来にない情報を生命科学の分野にもたらし始めている。しかし、高空間分解能・時間分解能・多色同時観察のいずれかを犠牲にしないといけない難点がある。本研究では、この点を解決すべく、生細胞蛍光1分子顕微鏡法を超解像法へと発展させ、生細胞分子動態の定量に適用し、エントロピーを鍵に“生物らしい分子システム”機構の解明を目的として、次の3項目を行った。 1.超解像1分子イメージングシステム構築。対物レンズ型全反射照明と薄層斜光照明法を使った1分子イメージング顕微鏡に関し、超解像の分解能を上げるため、照明光と結像系の改良を行った。超解像定量イメージングのための画像解析システムを、10nm精度を可能にするための系として改良した。 2.超解像多色同期1分子イメージング解析法の開発。超解像分子動態・相互作用解析において、上記1の改良されたイメージングシステムを用い、10 nm分解能にての解析を可能にするための、細胞内における分子間距離を定量する方法を開発した。多色画像間では、光学顕微鏡の分解能限界とされる2点識別分解能0.61×開口数/波長の制約を受けることがないため、10 nmを超えた分解能での解析も可能である。 3.生細胞シグナル伝達の超解像1分子イメージング・定量解析。構築したイメージングシステムを用い、シグナル伝達活性化による生細胞の分子動態・分子間相互作用を観察した。T細胞受容体・リン酸化酵素の膜表面におけるシグナル分子の動態を定量した。このために、ガラス基板上に人工脂質二重膜を作成し、表面分子の流動性を確保して細胞を保持し刺激する方法を確立した。簡便に再現性高く、均質な脂質二重膜を調製できる。また、小胞体内Ca濃度を測るため、細胞質よりも高濃度範囲を計測できる蛍光タンパク質Caインジケーターの系を確立した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
生細胞蛍光1分子顕微鏡法を超解像法へと発展させ、生細胞分子動態の定量に適用し、エントロピーを鍵に“生物らしい分子システム”機構を解明するという目的達成のために、本年度の研究計画は、「1.超解像1分子イメージングシステム構築」、「2.超解像多色同期1分子イメージング解析法の開発」、「3.生細胞シグナル伝達の超解像1分子イメージング・定量解析」の3項目を行うことであった。「1.超解像1分子イメージングシステム構築」に関しては、分解能を上げるため、顕微鏡ハードウェアの高画質化を中心に改良した。超解像定量イメージングのための画像解析システムを、10nm精度を達成すべく改良した。「2.超解像多色同期1分子イメージング解析法の開発」に関しては、任意の3~4色同期可視化によるリアルタイム4色同期超解像1分子イメージングシステムによる多色画像を利用できるようにし、異なる色の画像間でも、10nm精度を達成すべく、系を開発改良した。「3.生細胞シグナル伝達の超解像1分子イメージング・定量解析」に関しては、脂質二重平面膜を用いて、簡便に再現性高く、均質な脂質二重膜を調製できるアッセイ系を確立した。小胞体内Ca濃度を測るための、蛍光タンパク質Caインジケーターの系を確立した。いずれも、順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.超解像1分子イメージングシステムの改良。これまでに得られた結果を基に、光軸方向走査の高精度化、照明光の均質化、結像系の最適化による、超解像分解能の高解像度化をさらに改良する。顕微鏡制御PCシステムを改良して効率化を進める。超解像定量イメージングのためのアルゴリズムを、より高解像度とすべく改良する。 2.超解像多色同期1分子イメージング解析法の開発。上記の改良された多色同期イメージングシステムと、脂質二重膜を用いたガラス基板上でのアッセイ系を用い、2色1分子同時イメージング画像を解析して、2色画像間で分子間距離を定量し、方法の定量精度の評価を行う。 3.生細胞シグナル伝達の超解像1分子イメージング・定量解析。構築したイメージングシステムを用い、連携研究者との共同研究により、シグナル伝達活性化による生細胞の分子動態・分子間相互作用を観察する。多色対応の、リセプター・リン酸化酵素等のシグナル分子、actin等の細胞骨格、Caシグナルおよび関係分子、転写に関わる核内分子とGFP融合タンパク質を、適宜組合せ、細胞に複数種同時発現させ、観察解析する。 4.細胞数値モデルとシミュレーション。上記の様に実験的に求めた定量値をパラメータとして、シグナル伝達をシステムとして数値モデル化する。モンテカルロ法でLangevin方程式を解き、Signal/Noise比に注目して、シグナル伝達系の特徴を明らかにし、“生物”らしい分子機構の核心に迫る。 [連携研究者] 東京工業大学・大学院生命理工学研究科 十川久美子 多色蛍光標識分子導入細胞群の構築と観察解析
|
Research Products
(18 results)
-
[Journal Article] Regulation of RNA polymerase II activation by histone acetylation in single living cells2014
Author(s)
Stasevich TJ, Hayashi-Takanaka Y, Sato Y, Maehara K, Ohkawa Y, Sakata-Sogawa K, Tokunaga M, Nagase T, Nozaki N, McNally JG, Kimura H
-
Journal Title
Nature
Volume: 516
Pages: 272-275
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-