2014 Fiscal Year Annual Research Report
Rap1シグナルと哺乳類Hippoによる細胞接着と増殖の統合的制御
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25291047
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
木梨 達雄 関西医科大学, 医学部, 教授 (30202039)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Rap1 / Hippoシグナル / Mst1 / インテグリン / リンパ球 |
Outline of Annual Research Achievements |
Mst1およびMst2欠損T細胞の免疫シナプス形成を調べた結果、cSMAC(TCR/ペプチドMHC), pSMAC(LFA-1/ICAM-1)の形成が著しく障害されていた。またLFA-1/ICAM-1結合の一分子解析法を樹立し、解析した結果、高親和性結合の低下が明らかになった。リンパ球におけるHippo経路分子の発現を調べた結果、アダプター蛋白質Mob1a/Mob1b、NDR1/NDR2の発現が高いことから、Rap1シグナルによるRAPLと Mst1/Mst2によるインテグリンを介する接着、移動、抗原認識にNDR1/NDR2が関与するか検討した。RAPL、Mst1, Mob1a/Mob1b, NDR1/NDR2は複合体を形成することが免疫沈降法によってあきらかになった。RAPL/Mst1複合体とMob1/NDR1またまはNDR2の複合体の相互作用の結果、NDRカルボキシ末端のリン酸化が亢進し、Mst1によるNDRキナーゼの活性化が起こっていた。また、TCRおよびケモカイン刺激によるNDRの活性化がおこっていたが、Mst1欠損T細胞ではNDRカルボキシ末端リン酸化が低下していた。shRNAによるNDR1およびNDR2のknockdownによってケモカインによるT細胞の先端膜およびuropodの形成が障害され、接着も低下した。また、Rac/CDC42の活性化異常が起こっていた。NDRの下流ターゲット分子としてRab8交換因子Rabin8およびRab8を解析した。Crisper/Cas9によるRabin8欠損したリンパ球細胞株ではケモカインによる接着移動の異常は見られなかったが、Rab8欠損ではLFA-1の前方への集積が低下していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Rap1活性化によっておこるリンパ球における接着、移動の制御と抗原認識過程、アポトーシスへのHippo経路の関与について、遺伝子改変マウス、胸腺組織内2光子イメージング、人工膜による免疫シナプスを樹立し、Rap1によるMst1活性化がインテグリンLFA-1による接着・移動の制御、免疫シナプスの形成に重要であることを明らかにできた。特にLFA-1/ICAM-1一分子解析樹立からMst1による高親和性LFA/ICAM-1結合の障害が初めて明らかになった。また、Rap1シグナルとHippo経路とのクロストークが生化学的、イメージング手法によって明らかになりつつある。特にMst1/からNDR1の活性化がT細胞の細胞極性、接着動態に重要であることが示唆された。また、NDR1の下流分子としてRab8が関与し、LFA-1の先端膜輸送に関与していることが明らかになりつつある。胸腺細胞のアポトーシスをSCAT3を用いて2光子イメージングにより追跡可能になり、胸腺髄質の選択環境において胸腺上皮細胞との接着・アポトーシスの解析のためにマウス交配が進行中である。総じて26年度に計画したことはほぼ達成できている。
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Strategy for Future Research Activity |
Hippo経路に関して、Mob1/NDR1・NDR2の下流分子としてRab8およびそのエフェクター分子の解析をおこなっていく。NDR1の優性活性化型の効果、Rac/Cdc42活性化異常の詳細を検討する。また、Mst1/Mst2以外にMst3の関与を検討する。接着動態解析については予定どおり、免疫シナプス系、2光子イメージングによる一分子解析、リンパ節、胸腺組織内の動態解析を行い、in vitroで得られたRap1シグナルからHippo経路のクロストークの生体内機能を明らかにする。
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