2013 Fiscal Year Annual Research Report
緑藻クラミドモナスの光合成ステート・走光性連関の分子基盤
Project/Area Number |
25291058
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
若林 憲一 東京工業大学, 資源化学研究所, 准教授 (80420248)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 光合成 / 走光性 / ステート遷移 / レドックス / 真核生物鞭毛・繊毛 |
Research Abstract |
平成25年度は、クラミドモナスの光合成ステート遷移変異株stt7の走光性解析を行った。これまでの予備的実験で、野生株に光照射によるステート1誘導をすると正の走光性、ステート2誘導をすると負の走光性を示す傾向があった。このことをステート1固定変異株stt7の場合どのようになるかを確かめることが当初計画の1つであった。年度前にオリジナルstt7株が多重変異株であることが判明したため、新たに別の研究室からstt7アリルであるstt7-9株の分与を受けたが、残念ながらこれについても運動性異常をもつ多重変異株であることが判明した。数度の戻し勾配を経て、運動性が野生株並のstt7株を準備できたため、今後解析を行う。 また、細胞内レドックス状態の可視化の準備実験を行った。これまでに予備的に導入したレドックス感受性(redox-sensitive)GFP, roGFPは、酸化還元電位変化だけでなくpH変化にも過敏に反応してしまうことが判明した。現在、共同研究者が、pH変化に依存せずに酸化還元電位変化に応答する蛍光タンパク質の開発がほぼ成功している。このタンパク質の導入を目指すため、効率よく鞭毛に蛍光タンパク質を導入するベクターの開発を行った。年度内に、鞭毛タンパク質と蛍光タンパク質をリンカーでつないで発現させる、発現効率のよいベクター自体は開発できたが、鞭毛内に導入される際にリンカーが切断されることが判明した。現在、切断されないリンカーのデザイン、およびリンカーなしでの発現系を構築している。 並行して、レドックス感受に異常のある3つの変異株のうち、2つについては原因遺伝子を同定することができた。現在、レスキュー実験によってその検証を行っている。 さらに、ダイニンを含む鞭毛内レドックス・シグナリング分子経路については、鞭毛チオレドキシンLC3のターゲット候補を数種同定することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度はステート遷移と走光性の連関、および細胞内レドックス状態の可視化については、計画実現のためのツール作りに終始してしまった。一方で、平成26年度以降に行うはずであったミュータントの原因遺伝子同定と鞭毛ダイニン型チオレドキシンLC3のターゲット同定については進展したため、総じて順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
ステート遷移変異株の走光性解析、および野生株のステート誘導後の走光性解析を優先的に行う。その上で、ステート誘導時の葉緑体内および鞭毛内レドックス状態の判定を行い、葉緑体内レドックス状態、細胞質レドックス状態、そしてその際の運動性の連関を総合的に行う。 進行中のミュータント遺伝子の検証およびLC3ターゲットの絞込も並行して行う。
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Research Products
(14 results)