2014 Fiscal Year Annual Research Report
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25291062
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
出村 拓 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (40272009)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 細胞分化 / 道管 / 転写制御 / エピジェネティクス / 小分子RNA |
Outline of Annual Research Achievements |
1.VND7遺伝子の発現におけるエピジェネティック制御:VND7遺伝子発現のエピジェネティック制御について、DNAメチル化とヒストンH3K27メチル化について詳細に解析した。その結果、VND7の遺伝子発現にVND7第2エキソンのDNAメチル化とVND7のプロモーター領域のヒストンH3K27メチル化が抑制的に働いていることを確認した。さらに、細胞特異的なエピジェネティック制御を明らかにするために、維管束特異的マーカーを用いたセルソーティングを試み、ソーティングの条件を確定するに至った。 2.VND7遺伝子のシス因子とトランス因子:GATA5やそのホモログの機能を明らかにするために変異体等の表現型解析を行った。また、蛍光相関分光法FCS (Fluorescence Correlation Spectroscopy)を用いたDNA-転写因子の結合解析システムを用いて、VND7に加えて繊維細胞マスター因子SND1の機能解析を進めた。 3.VND7の機能制御メカニズム:VND7-VP16-GRを過剰発現させたシロイヌナズナをDEX処理することによって、植物体全体で人為的に異所的な道管分化を誘導することができる。この植物体での異所的な道管分化が抑制された復帰突然変異体の責任遺伝子として同定されたS-nitrosoglutathione reductase遺伝子とplant U-box遺伝子を同定し、機能解析を進めた。 4.維管束木部分化におけるsmall RNAの動態:昨年度までに確立した植物ホルモン投与によってシロイヌナズナ子葉を用いた木部細胞の分化誘導系におけるsmall RNAの動態を次世代高速DNAシーケンサーを用いて解析した。その結果、道管分化過程で道管分化を正に制御する転写因子遺伝子の一部の発現を制御する可能性をもつmicro RNAを見出すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
VND7遺伝子の発現におけるエピジェネティック制御の解析について、ヒストンH3K4メチル化とヒストンH3K9アセチル化の影響に関する解析がやや遅れている。一方で、セルソーティングのセットアップが済むなどの進展があり、この項目についてはおおむね順調に進んだと考えている。VND7の機能制御メカニズムの解析については、責任遺伝子としてS-nitrosoglutathione reductaseとplant U-boxが同定できたため、それらの機能解析を含めて予想以上の進展があった。さらに、維管束木部分化におけるsmall RNAの動態の解析についても、small RNAのRNAシーケンスを終了し、トランスクリプトーム解析の結果と合わせて、micro RNAによって、道管分化制御に関わる転写因子の発現が制御されている可能性を見出すなど進展があった。以上のことから、本研究はおおむね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
1.VND7遺伝子の発現におけるエピジェネティック制御:VND7遺伝子発現のエピジェネティック制御について、DNAメチル化、ヒストンH3K27メチル化、ヒストンH3K4メチル化、ヒストンH3K9アセチル化の解析を継続する。また、関連の阻害剤(5-aza-dC 、HDAC阻害剤:TSA・パルブロ酸など)と関連遺伝子(HDAC、HAT、LSD、MET1等)の突然変異体を用いた、表現型(異所的道管形成頻度)解析とVND7遺伝子・下流遺伝子の発現解析を継続する。昨年度までに条件検討を終えた、維管束特異的マーカーを用いたセルソーティングを用いて、細胞特異的なエピジェネティック制御を明らかにする。 2.VND7遺伝子のシス因子とトランス因子:GATA5やそのホモログの機能解析を継続する。また、蛍光相関分光法FCS (Fluorescence Correlation Spectroscopy)を用いたDNA-転写因子の結合解析システムを用いて、VND7のターゲット遺伝子と繊維細胞マスター因子のSND1のターゲット遺伝子のシス因子の比較を継続し、その成果を論文発表する。 3.VND7の機能制御メカニズム:VND7-VP16-GRを過剰発現させたシロイヌナズナをDEX処理することによって、植物体全体で人為的に異所的な道管分化を誘導することができる。この植物体での異所的な道管分化が抑制された復帰突然変異体の責任遺伝子として同定されたS-nitrosoglutathione reductase遺伝子の機能解析を行うとともに、VND7タンパク質がS-ニトロシル化を受けているかについての検証を進める。 4.維管束木部分化におけるsmall RNAの動態:シロイヌナズナ子葉における植物ホルモン投与による木部細胞分化誘導過程で取得したsmall RNAの動態をもとに、特定のsmall RNAの木部細胞分化における役割を検討する。
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Causes of Carryover |
研究の進捗状況に合わせて、一部の消耗品の購入を翌年度に持ち越すことにしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度に消耗品費として使用する。
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[Journal Article] Multiple Classes of Transcription Factors Regulate the Expression of VASCULAR-RELATED NAC-DOMAIN7, a Master Switch of Xylem Vessel Differentiation2015
Author(s)
Endo H, Yamaguchi M, Tamura T, Nakano Y, Nishikubo N, Yoneda A, Kato K, Kubo M, Kajita S, Katayama Y, Ohtani M, Demura T
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Journal Title
Plant Cell Physiology
Volume: 56
Pages: 242-254
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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