2014 Fiscal Year Annual Research Report
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25291082
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
田村 浩二 東京理科大学, 基礎工学部, 教授 (30271547)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | RNA / アミノ酸 / ホモキラリティー / 生命起源 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、生物がなぜL-アミノ酸を使うのかという生命の本質に迫る問いに対し、その起源と進化を明らかにし、分子識別のメカニズムに迫ることを目的としている。申請者が発見した「RNAのキラル選択的アミノアシル化」におけるキラル選択性の分子メカニズムに迫るべく、分子動力学計算を押し進めた。また、3体分子からなる「RNAのキラル選択的アミノアシル化」反応を模倣する1分子RNAを作製し、X線構造解析を目指した結晶化の試みを行った。更に、ホモキラルなD-モノヌクレオチドの重合のために有利なコンフォーメーション解析も行った。その結果、塩基のスタッキングが第3の分子の添加によって増加する可能性を示唆するデータを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
キラル選択性の基盤を構築すべく、実験、および、計算化学の両面からのアプローチを継続している。難題なだけに、まだまだ目標には到達していないが、塩基スタッキングを誘導する新たな知見が得られており、次年度以降の研究遂行に向けて、おおむね順調だと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の結果を受けて、3体分子からなる「RNAのキラル選択的アミノアシル化」反応を模倣する1分子RNAを作製し、X線構造解析を目指した結晶化の試みを継続して行う。また、本質を突くような単純化したモデル作成を目指し、分子動力学的エネルギー計算やコンフォーメーション解析も押し進める。重合に好影響を与える塩基スタッキングに関しては、CDスペクトル解析等を用いて、スタッキング形成の条件を特定していく。更に、第3の分子の存在下で、D―モノヌクレオチド(5’-pA)の5’-リン酸基に2-メチルイミダゾール基を付加した5’-2-MeImpAを用いて、反応溶液中に渦(右回り、左回り)を発生させた場合の重合の解析、および、反応条件の検討を行っていく。
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Causes of Carryover |
今年度に関しては、ほぼ予定通りの研究費使用した(1259円の赤字)が、前年度物品の購入(高速液体クロマトグラフ質量分析装置、窒素ガス発生装置)に関して、当初予定額より、安価に済ませることができたため、その差額相当分が、次年度使用額として生じることになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度に購入した高速液体クロマトグラフ質量分析装置、窒素ガス発生装置を有効に活用し、これを利用した解析を進める。また、今年度に新たに得られた知見をもとに、必要試薬等の購入に使用するとともに、生物がなぜL-アミノ酸を使い、それがRNAの生成と密接に関係している可能性の検証に有効に費やす。これらの総合的な知見について、学会発表を行うなどして、次年度使用額を宛てる。
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Research Products
(25 results)