2013 Fiscal Year Annual Research Report
超高磁場fMRIを用いたヒト身体不安定性における「全身的協関」メカニズムの研究
Project/Area Number |
25291109
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
菊池 吉晃 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 教授 (50134739)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
則内 まどか 公益財団法人東京都医学総合研究所, 認知症・高次脳機能分野, 主任研究員 (20571897)
跡見 友章 帝京科学大学, 医療科学部, 助教 (80611285)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 身体不安定性 / fMRI / 脳 |
Research Abstract |
被験者は健常な右利きの男性とした。刺激動画作成のため、自分または他人がバランス課題を実施してもらいデジタルビデオカメラで撮影・編集した。課題の条件は、静的安定 (Statically Stable: SS)、動的安定 (Dynamically Stable:DS)、動的不安定 (Dynamically Unstable:DU) の3条件とした。撮影された動画から、SS、DS、DU の条件毎に異なる動画となるよう4 か所を切り出しボード及び身体全体のみが映るように編集した。刺激動画は、自己の映像3 条件と他者の映像各3条件、それぞれ4 クリップずつで合計24 クリップとしてブロックデザイン実験を行った。映像はアクリル製スクリーンにプロジェクターで背後から投射し、MRI 装置内の合わせ鏡を通して被験者に提示した。fMRI 撮像は、首都大学に設置されている3 Tesla MRI 装置 (Achieva Quasar,Phillips 社) を用いGRE 型EPI 法によって行った。撮像パラメーターは、TR4000ms 、TE90.5ms、フリップ角80°、マトリックスサイズ128×128pixels 、FOV24×24cm2、スライス厚7.0mm、スライス枚数20 枚で、撮像範囲は小脳から頭頂までとした。fMRI データの解析は、SPM8を用い、一連の前処理に加え、血流動態反応函数(HRF)を用いた一般線形モデル(GLM)によって必要な個人解析を行い、これにもとづき、変量効果(random effects) による集団解析を実施した。その結果、自己の身体不安定性条件において、頭頂-島前庭皮質(parieto-insula vestibular cortex: PIVC)などの身体的不安定処理に関与する一連の脳活動が得られたことが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超高磁場fMRIを用いたヒト身体不安定性における「全身的協関」メカニズムの研究の推進を可能とするための実験系構築と予備実験を実施した。なお、倫理については、首都大学人間健康科学研究科研究安全倫理委員会より同研究実施についての承認を得た。実験方法は概ね研究計画書に記載した通りで、被験者用のバランスボード作成、予備実験の被験者について、バランスオード課題を実施し、静的安定 (Statically Stable: SS)、動的安定 (Dynamically Stable:DS)、動的不安定 (Dynamically Unstable:DU) の3条件についての動画を撮影し、編集作業を通してfMRI実験に用いる動画刺激を作成した。同刺激を用いたfMRI実験を実施し、基本的な脳機能画像解析および主観評価データの解析によって当初仮定していた身体不安定性に関与する脳活動を認めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度で確定した方法に基づき本実験を実施する。本実験では、脳活動データに加え、自律神経情報や主観評価なども取得し、それらと脳活動との相関解析などを実施する。脳活動データ解析は、前述の全脳(whole brain)集団解析に加え、必要に応じて機能的結合解析(functional connectivity analysis)など適用することで、平衡(前庭)系、運動系、認知(知覚)系、自律系、情動系、記憶系などの関係性を明らかにし、これらの系の間にある相互作用について解析をおこない、「全身的協関」システムの形成について検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究のための実験設備や準備などの変更に伴い予算執行について変更を余儀なくされたことによる。 次年度、引き続き、実験系の構築などに必要な部品の購入などに使用する予定である。
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Research Products
(6 results)