2013 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア過剰活性化説に基づく細胞質雄性不稔性の発現機構の解析
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25292001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
久保 友彦 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (40261333)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 和憲 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター, 主任研究員 (80414754)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / 呼吸 |
Research Abstract |
いくつかの植物では、花粉形成を阻害する遺伝子がミトコンドリアにコードされており、その形質は細胞質雄性不稔性(CMS)と呼ばれている。巷間、十分な検証も無いままCMS遺伝子はミトコンドリア機能を低下させることで雄性不稔をもたらすと信じられてきた。これに対し、申請者はテンサイ(サトウダイコン)のCMS系統から単離したミトコンドリアが正常よりも活性化しているという、意外な事実を発見した。本研究では、ミトコンドリアの過剰な活性化と雄性不稔性発現の関係を明らかにすることを目的に行われる。 1.テンサイ葯におけるATP量の測定を行った。その結果、ATP量の違いについて、①減数分裂期においては正常とCMSは変わらない、②正常テンサイは四分子期でATP量を維持するのに対し、CMSでは四分子期にATP量が低下する、ということがわかった。 2.テンサイゲノムDNAよりRNA編集を受けていないatp9をクローン化した。これにミトコンドリア輸送シグナルペプチドと、タグを付加し、テンサイへ形質転換した。形質転換体を得ることに成功した。呼吸の低下が期待される。 3.間接的ではあるが、減数分裂期のミトコンドリアにおける酸化障害を示唆する予備的なデータを得た。これには、ミトコンドリア代謝産物と、それに関わる遺伝子発現が含まれる。ただし、活性酸素に応答する遺伝子発現については、今のところ支持するデータが得られていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ATP量測定など、予定している実験は順調に進んでいる。初年度と言うこともあり、材料作りや、予備試験を重点的に行った。一方、予定していた材料の育成が予期せぬ病害発生によりできなくなり、実験の一部は次年度に行う事とした。
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Strategy for Future Research Activity |
ミトコンドリア活性化とCMS発現について、さらに詳細に調査を進める。酸化障害が起こっている可能性を検討する。育成した材料の解析を進め、新規稔性回復遺伝子のクローニングと、育種系統の解析を行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定していた実験材料の一部が、予期せぬ病害により使えなくなってしまった。改めて材料育成を行っているが、年度内の実験には間に合わなかった。 再度育成を行っている材料については、現在のところ順調に成長している。そのため、これらの分析を平成26年度に行う予定である。
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