2014 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア過剰活性化説に基づく細胞質雄性不稔性の発現機構の解析
Project/Area Number |
25292001
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
久保 友彦 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (40261333)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 和憲 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター, 研究員 (80414754) [Withdrawn]
黒田 洋輔 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター, 研究員 (40595071)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | ミトコンドリア / 遺伝子発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
いくつかの植物では、花粉形成を阻害する遺伝子がミトコンドリアにコードされており、その形質は細胞質雄性不稔性(CMS)と呼ばれている。巷間、十分な検証も無いままCMS遺伝子はミトコンドリア機能を低下させることで雄性不稔をもたらすと信じられてきた。これに対し、申請者はテンサイ(サトウダイコン)のCMS系統から単離したミトコンドリアが正常よりも活性化しているという、意外な事実を発見した。本研究では、ミトコンドリアの過剰な活性化と雄性不稔性発現の関係を明らかにすることを目的に行われる。 1.前年度テンサイゲノムDNAよりRNA編集を受けていないatp9をクローン化した。これにミトコンドリア輸送シグナルペプチドと、タグを付加し、テンサイへ形質転換した。形質転換体を得ることに成功した。今年度、この形質転換植物における遺伝子発現を調査した。しかしなら、導入遺伝子の翻訳が認められなかった。そこで、ATP合成酵素の活性低下を目論み、シロイヌナズナ核ゲノムにコードされるatpγ遺伝子をテンサイに導入した。テンサイとはアミノ酸配列が異なっていることを確認している。導入遺伝子の翻訳を確認した。予備データであるが、ATP合成酵素複合体に取り込まれていることを示唆する結果を得ている。 2.新規稔性回復遺伝子の標的が、CMS原因遺伝子とは異なる可能性が示唆された。それは、ミトコンドリア遺伝子転写パターン、RNA編集、翻訳産物の挙動、および葯転写産物の網羅的解析から支持された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ATP合成酵素の不活性化について、予定していた方法が使えないことが判明し、別な方法を採用した。こちらについては、今のところ順調である。その他については、今のところ支障はない。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度であり、研究のとりまとめを意識しながら進める。ATP合成酵素阻害の効果、新規稔性回復遺伝子の効果、ミトコンドリア生化学、および遺伝子発現から研究を進めていく。ミトコンドリア活性化とCMS発現について、さらに詳細に調査を進める。
|
Causes of Carryover |
実験材料育成の都合により、いくつかの実験を次年度に行うため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究計画に従い、予定の実験を行うことで使用する。
|