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2015 Fiscal Year Annual Research Report

活性型転移因子がイネのエピゲノムにおよぼす効果の解明と育種への応用

Research Project

Project/Area Number 25292006
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

築山 拓司  京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (00423004)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 奥本 裕  京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (90152438)
寺石 政義  京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (80378819)
齊藤 大樹  京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (10536238)
Project Period (FY) 2013-04-01 – 2017-03-31
Keywords転移因子 / イネ / エピジェネティクス
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、イネ活性型転移因子mPiingが宿主のエピゲノムにおよぼす効果を解析するとともに、mPingの転移と宿主のエピジェネティックな制御の関係を解明することで、転移因子を用いたエピゲノム育種を提案しようとするものである。
これまでの研究から、mPingは自身とその近傍をメチル化することで選択的スプライシング(AS)を誘発している可能性が示唆されている。本年度は、RNA-seqによって銀坊主ゲノム中でmPingによるASが生じている遺伝子を網羅的に調査した。その結果、同一親に由来する3個体共通でmPing挿入を有する90個の遺伝子のうち83個の遺伝子で転写産物が検出でき、21個でmPing挿入が原因であると考えられるASおよび選択的ポリA化(APA)が観察された。mPing挿入があるにもかかわらずASおよびAPAが観察されなかった遺伝子が数多く存在しことは、mPing挿入位置の違いやDNAのメチル化状態の違いによるものではないかと考えられた。
mPingを用いたエピゲノム育種を効率良く行うためには、mPingの転移機構を明らかにする必要がある。本年度は、ガンマ線照射銀坊主F2集団から、不活性型mPing(元の挿入位置から切り出されないmPing)が切り出された個体をスクリーニングした。384系統(合計1920個体)のM2を一次スクリーニングした結果、25系統で不活性型mPingの転移が検出された。次いで、二次スクリーニングを行ったところ、ほとんどの候補個体は外部交配によって生じたものであったが、不活性型mPingが転移した突然変異個体を1個体のみ得ることができた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

27年度は、銀坊主ゲノムにおいてmPingによって選択的スプライシングおよび選択的ポリA化される遺伝子を網羅的に解析することで、mPingがメチル化を介して遺伝子の発現を転写時のみならず転写後も制御している可能性を見出すとともに、mPingの転移機構を解析するための材料として不活性型mPingが転移した突然変異体を得ることができた。一方で、交付申請書に記載した研究計画、特に「次世代シーケンサーを用いたmPingメチル化程度の網羅的解析」では27年度も期待した成果が得られなかった。このことは、当初予定していた新学術領域研究「ゲノム支援」に採択されず、支援が受けられなかったためである。28年度は、外部委託もしくは共同研究によってmPingメチル化程度の網羅的解析を行う予定であり、順調に進展する見込みである。

Strategy for Future Research Activity

銀坊主におけるmPingのメチル化程度はコピー間で異なることから、mPingのメチル化を解析する際には、1,000コピー以上の挿入位置を明確に区別する必要がある。28年度は、まず、通常のPost-bisulfite Adaptor Tagging (PBAT)法を用いて銀坊主ゲノム全体のメチル化程度を明らかにするとともに、High-Throughput Targeted Repeat Element Bisulfite Sequencing (HT-TREBS)法を用いてmPing特異的にメチル化状態を解析する。
これまでの研究から、mPingは宿主によるエピジェネティックな制御機構を介して遺伝子の発現を転写時のみならず転写後も制御している可能性が示唆されている。そこで、28年度は、Chip-seqによってmPingが存在する領域のヒストン修飾状態を調査する。そして、上記のメチル化網羅解析の結果と併せて、mPingが宿主のエピゲノムを改変することで遺伝子の転写後制御にどのように関与しているかを明らかにする。
mPingの転移機構の解析では、次世代シーケンサーを用いて不活性型mPingが切り出された個体とその姉妹系統のゲノムを比較解析し、不活性型mPing の切り出しに関与するゲノム領域を特定する。
28年度は最終年度であるため、これまで成果を学術論文にまとめるとともに、ホームページや公開講座を介して研究者や一般市民に広く周知する。

  • Research Products

    (4 results)

All 2016 2015

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 2 results,  Acknowledgement Compliant: 1 results,  Open Access: 2 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] The active miniature inverted-repeat transposable element mPing posttranscriptionally produces new transcriptional variants in the rice genome2015

    • Author(s)
      Rise Kum, Takuji Tsukiyama, Haruka Inagaki, Hiroki Saito, Masayoshi Teraishi, Yutaka Okumoto, Takatoshi Tanisaka
    • Journal Title

      Molecular Breeding

      Volume: 35 Pages: 159

    • DOI

      10.1007/s11032-015-0353-y

    • Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
  • [Journal Article] イネユビキチン様タンパク質遺伝子Rurm1がメチルビオロゲンによって誘導される酸化ストレス応答におよぼす効果2015

    • Author(s)
      河西恵、築山拓司、寺石政義、奥本裕、谷坂隆俊
    • Journal Title

      作物研究

      Volume: 60 Pages: 55-57

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] トランスポゾンによる変異創生とその育種への応用2015

    • Author(s)
      金澤章、深井英吾、宮尾安藝雄、佐瀬英俊、築山拓司
    • Journal Title

      育種学研究

      Volume: 17 Pages: 77-87

    • Open Access
  • [Presentation] DNAメチル化がイネ自律性転移因子Pingの結合能におよぼす効果2016

    • Author(s)
      築山拓司、小野原一暢、田中幹也、齊藤大樹、奥本裕、寺石政義、井上國世、谷坂隆俊
    • Organizer
      一般社団法人日本育種学会第129回講演会
    • Place of Presentation
      横浜市立大学
    • Year and Date
      2016-03-21 – 2016-03-22

URL: 

Published: 2017-01-06  

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