2014 Fiscal Year Annual Research Report
レタスDREB遺伝子内に存在するSNPとストレス耐性の関連解析
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25292022
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
宇野 雄一 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (90304120)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | レタス / 環境ストレス / 耐塩性 / 転写因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
レタスは耐塩性・耐凍性が低い作物に分類されるので、環境ストレス耐性を高めた新品種を作出する意義は大きい。DREBがコードするタンパク質は、多くの植物種に保存されており、ストレス応答に関わる遺伝子群の転写を調節する。レタスにおいてもDREBのオルソログがあり、特にDREB1Aには、野生型と変異型に分かれる一塩基多型(Single Nucleotide Polimorphysm; SNP)が存在する。本研究では、LsDREBとストレス耐性、さらにはLsDREB1A内のSNPとストレス耐性との関連性を調査することを目的としている。平成26年度は次の4項目について研究を実施し、LsDREB1Aに関する知見を得た。 ① タグ付きLsDREB1Aタンパク質および抗体の作成と解析:前年度に引き続き、3種類の6xHis融合タンパク質のベクターコンストラクトを用い、誘導条件と精製条件の検討を詳細に行った。誘導のタイミング(大腸菌の濁度、培養時間)や温度について検討したが、タンパク質の不溶化が改善されなかった。以上から、ペプチド抗体を外注する結論を得た。 ② レタス品種群およびLactuca属内の種群におけるLsDREB1AのSNPの調査:国内および海外のレタス品種群を収集し、SNPを調査したところ、主として中国/韓国の品種に野生型のSNPが存在していることが明らかとなった。この結果は、前年度の内容を支持した。 ③LsDREB1A(野生型および変異型)の形質転換体の作出と解析:野生型および変異型の形質転換レタスを作出し、T1世代を採種した。 ④X70W型品種とW70X型品種の後代の作出と解析:F1を自殖させ、F2分離集団を獲得した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施項目の、② レタス品種群およびLactuca属内の種群におけるLsDREB1AのSNPの調査、③LsDREB1A(野生型および変異型)の形質転換体の作出と解析、④X70W型品種とW70X型品種の後代の作出と解析、については当初の計画通り進行している。① タグ付きLsDREB1Aタンパク質および抗体の作成と解析については、詳細な検討を行ったが、誘導・精製過程におけるタンパク質の不溶化が避けられず、やや遅れが生じている。そこで、誘導と精製行程を一旦保留し、ペプチド抗体を外注することで対応したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は次の4項目について研究を実施し、前年度に得たLsDREBに関する知見をさらに深めるとともに、ストレス耐性との関連性を考察したい。 ① タグ付きLsDREB1Aタンパク質および抗体の作成と解析:LsDREB1Aのペプチド抗体を外部委託により作成し、製品の力価や特異性を評価する。 ② レタス品種群およびLactuca属内の種群におけるLsDREB1AのSNPの調査:国内および海外のレタス栽培品種および野生種を収集し、SNPを調査する。 ③LsDREB1A(野生型および変異型)の形質転換体の作出と解析:T1の形質転換レタスを自殖させ、T2種子を得る。そのうち一部についてストレス耐性の解析を行う。 ④X70W型品種とW70X型品種の後代の作出と解析:F1を自殖させて得たF2分離集団のストレス耐性の解析を行う。
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Causes of Carryover |
採種のための交配試験や、形質転換体の作成を委託する予定であったが、場所と時間の確保が順調に進み、自身で試験を行うことができたため、一部の予算の未消化が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究の推進に必要な備品を購入するとともに、ペプチド抗体の外部委託等に使用する予定である。
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