2015 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノミクス・トランスクリプトミクス的アプローチによる異形花型不和合性の機構解明
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25292023
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
牛島 幸一郎 岡山大学, その他の研究科, 准教授 (20379720)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 孝征 中部大学, 公私立大学の部局等, 講師 (50535797)
赤木 剛士 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (50611919)
池田 和生 山形大学, 農学部, 准教授 (80555269)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 自家不和合性 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度にF1分離集団を利用したRNA-seqのリード配列の比較から、TSS1やTSW4といったS遺伝子座に連鎖する重要な候補遺伝子を単離した。得られた候補遺伝子はトランスクリプトーム比較であるため、S遺伝子座に連鎖した遺伝子がすべて明らかになっているわけでは無い。現在の所、候補が得られているのは雌ずい側の因子だけであり、同じS遺伝子座に座乗すると考えられている雄ずい側の因子については、有力な候補が得られていない。また、S遺伝子座の構造を明らかにするのは、S遺伝子座の獲得と維持といった進化学的な意味合いでも重要なことである。そこで、平成27年度はRNA-seqと同じ分離集団についてDNA-seq解析を行い、サブリード比較から染色体配列を明らかにすることにした。 Thrumとpinの25個体のDNA-seqデータを前年度と同様にサブリードに分割・カタログ化し、比較を行いThrum特異的なサブリード配列を特定した。Thrum特異的な配列を含むリードを抽出し、S遺伝子座由来のリードのみでde novo assemblyを行った。その結果、約15,000のコンティグが得られた。全リード配列をマッピングし、Sとsハプロタイプ間での配列特異性を確認したところ、800コンティグがSハプロタイプ特異的であると推察された。S特異的配列の長さは合計すると約1Mbpになる。現在は得られたコンティグ配列内に新たな候補遺伝子がないか検証しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度のトランスクリプトームの解析に引き続き、ゲノムレベルでの解析を行った。Sハプロタイプ特異的な領域が1Mbp以上にわたり、予想以上に解析対象の領域が大きかった。しかし、RNA-seqデータとの照合から、領域の長さに対して存在する遺伝子数は多くなく、特に障害になりそうな大きさではないと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
DNA-seqはIllumina hiseqを利用しており、S特異的なコンティグは平均長が1000bp程度で、構造解析などを行うには不十分な長さである。そこで、コンティグのscaffolding等を行うためにPacBio RSIIやmate-pairの解析を行い、よりながいコンティグを得る。RNA-seqのデータと合わせ、雄性側の候補遺伝子の絞り込みを行う。 同時に他の種のRNA-seq解析を行い、共通する遺伝子などを同定し、候補遺伝子の絞り込みに利用する。
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Causes of Carryover |
H27年度からH28年度にかけてPacBioRSIIを利用したゲノム配列の解読を行っている。慎重を期すため2度にわたって解析を行っており、2度目の解析がH27年度中に修了しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H28年度に入り直ぐに解読が終了したため、次年度使用額はH28年5月の段階ですでに消化している。
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