2015 Fiscal Year Annual Research Report
マイコウイルスによる弱病原化機構を利用した白紋羽病菌の病原性関連遺伝子の解析
Project/Area Number |
25292031
|
Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
兼松 聡子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 人事部 男女共同参画推進室, 室長 (40355433)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八重樫 元 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹茶業研究部門 リンゴ研究領域, 主任研究員 (90582594)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 白紋羽病菌 / マイコウイルス / 植物病原糸状菌 / 病原性 |
Outline of Annual Research Achievements |
白紋羽病菌の病原力を低下させるマイコウイルスであるメガビルナウイルス(RnMBV1)感染により変動する白紋羽病菌の遺伝子を解析することで白紋羽病菌の病原性に関する機構を明らかにすることを目的とする。昨年度までにRnMBV1感染により変動する転写因子ホモログの抽出を行った。本年度はこれら転写因子ホモログの機能解析を行った。RnMBV1感染により発現が変動する転写因子ホモログのうち、特に変動が大きかった2遺伝子、cTF2(発現抑制)、cTF8(発現増加)について、それぞれRNAiベクターと過剰発現ベクターを作製した。ウイルスフリーの標準菌株であるW97へ各ベクターを導入し、発現抑制株(cTF2i)と過剰発現株(cTF8ox)を作出した。得られたcTF2i およびcTF8ox の菌株の生育を調べたところ、cTF2i 株の一部では生育の減少が確認されたが、それ以外の菌株は、ベクターコントロールと同程度の生育を示した。また、いくつかの菌株においてリアルタイムPCR により発現量を調べたところ、cTF2i株はcTF2遺伝子の発現が抑制され、cTF8ox株はcTF8遺伝子の過剰発現が確認された。以上の結果から、各遺伝子単独の発現変動は、白紋羽病菌の菌そう生育に影響を及ぼさなかった。 RnMBV1に含めた5種のマイコウイルスについて、RNAサイレンシング関連遺伝子RnDCL-2, RnAGL-1, RnAGL-2, RnRdRP-1, -2, -3, -4)の発現レベルをリアルタイムPCRで解析したところ、白紋羽病菌の病原力を低下させるRnMBV1やマイコレオウイルス3(RnMyRV3)の感染により、RnDCL-2, RAGL-2, RnRdRP-1, RnRdRP-2の発現上昇することが明らかとなった。これらの遺伝子の過剰発現体を作出したが、生育に顕著な変化は認められなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
白紋羽病菌遺伝子の機能解析系を開発している。また、病原力低下効果の大きいマイコウイルス感染によって発現が変動する遺伝子群が抽出されており、これらのうち着目する遺伝子について順次解析を行っているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
・昨年度に更新した白紋羽病菌のゲノム情報を用いてRnMBV1感染白紋羽病菌においてGene ontology解析を行い、病原力低下効果の大きいウイルス感染により発現が変動する遺伝子群の特徴づけを行う。
・RnMBV1感染により発現が抑制される遺伝子のうち、新たに着目したレクチン遺伝子について発現抑制株を作出し、遺伝子の機能解析を行う。
・その他の発現が変動する遺伝子についても、着目する遺伝子について遺伝子の発現解析、機能解析を行う。
|
Causes of Carryover |
学会参加ができない場合があったため、旅費の使用において一部の余剰が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年は最終年度となるため、研究内容の打ち合わせのための旅費や論文投稿料、英文校閲費に使用する。
|
Research Products
(3 results)