2013 Fiscal Year Annual Research Report
大容量塩基配列に基づくハダニ類の系統解析と近縁種の簡易識別法の開発
Project/Area Number |
25292033
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
後藤 哲雄 茨城大学, 農学部, 教授 (60178449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 博明 独立行政法人農業生物資源研究所, 昆虫科学研究領域, 特任上級研究員 (40343991)
鈴木 美穂 基礎生物学研究所, 形態形成研究部門, 研究員 (80548470)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ダニ・線虫管理 / 系統関係 / トランスクリプトーム解析 |
Research Abstract |
a) ハダニ類の属間および種間の系統解析に有効な遺伝子情報を収集するために、次世代シークエンサーによるRNA-Seqを行った。ハダニ1種につき1,117-4,254 Mbのデータが得られた。 b) de novoアセンブリを行い、 100 bpのショートリードを繋ぎ合わせた長い配列(コンティグ)を作成した。ハダニ1種につき13,315-25,483本のコンティグが得られた。 c) BLASTを用いて相同性検索を行い、ハダニ52種のオーソログ遺伝子を抽出した。ハダニ科の分子系統樹上で遠縁であると考えられるハダニ5種(クローバービラハダニ、トウヨウハダニ、ミカンハダニ、ケナガスゴモリハダニ、ナミハダニ)のコンティグを用いて総当りの相同性検索を行った。総当りの相同性検索の結果は種ごとにとりまとめて、5種に共通するオーソログ遺伝子を抽出し、最後に5種それぞれを基準にして抽出されたオーソログ遺伝子を相互に比較してベン図を作成し、いずれの種を基準にした場合にも抽出されたオーソログ遺伝子(1,165遺伝子)を決定した。 ハダニ5種のオーソログ遺伝子がどのような遺伝子であるのかを調べるために、ナミハダニのCDS配列との相同性検索を行った。ナミハダニのCDS配列にヒットしたハダニ5種のオーソログ遺伝子と他のハダニ(47種)のコンティグとの相同性検索を行い、供試したハダニ52種のオーソログ遺伝子(192遺伝子)を決定した。 d) 供試したハダニ52種のオーソログ遺伝子(192遺伝子)を遺伝子ごとにアライメントした。すべてのアライメントを目視で確認し、アライメントが不確かな遺伝子は解析から除外した。オーソログ遺伝子192遺伝子のうち、塩基配列のデータセットには183遺伝子、アミノ酸配列のデータセットには93遺伝子が含まれた。アライメントされた遺伝子を用いて、ハダニ科の分子系統解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に52種の解析を終了しており、引き続きハダニの採集を継続している。得られたデータは膨大であり、その解析に手間取っていたが、理研のスパコンより解析スピードが速いヒューレットパッカード社のサーバを使えることになったため、現在データ解析のスピードが大幅に改善している。従って、現在までのところ、研究の進捗状況は概ね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
計画書通りに、解析種数を増やすと共に、一塩基多型など、簡易識別法の開発に向けた研究を平行して行っていく。併せて、トランスクリプトーム解析によって得られたデータから、更なる有用な情報を抽出・解析することを進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
トランスクリプトーム解析により抽出した領域の有効性評価の遂行は、得られたデータ量に依存し、かつその解析のスピードに左右される。初年度は52種のデータを得ているが、有効性を評価するための解析に手間取ったことから、初年度の予算を繰り越すことになった。また、成果発表は解析精度の正確さを期するため、これらに係わる費用も次年度に繰り越した。 トランスクリプトーム解析により抽出した領域の有効性の評価を行う。また、研究成果発表に係わる支出を行う。
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