2014 Fiscal Year Annual Research Report
サリチル酸配糖化酵素を分子標的とした新規プラントアクチベーターの探索
Project/Area Number |
25292035
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
能年 義輝 岡山大学, その他の研究科, 准教授 (70332278)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 植物 / 酵素 / 生理活性 / 環境調和型農林水産 / プラントアクチベーター |
Outline of Annual Research Achievements |
病害抵抗性誘導剤(プラントアクチベーター)は植物が持つ免疫力を活性化することによって病害防除効果を発揮する薬剤である。薬剤耐性菌によって効果が打破されない持続性と環境負荷低減効果を併せ持つ次世代型の植物保護手法として期待される。代表者は、独自の細胞ベースアッセイ法による化合物ライブラリーの探索から抵抗性誘導活性をもつ7個の植物免疫プライミング剤(インプリマチン)を単離した。そして、その一部が植物免疫ホルモンであるサリチル酸に糖を付加して不活性化するサリチル酸配糖化酵素(SAGT)を阻害して薬効を発揮することを突き止めた。そこで本研究では、さらに強力なSAGT阻害剤の単離同定を目指し、シロイヌナズナのSAGTの一つであるUGT76B1を用いた標的ベース探索を行う。昨年度、配糖化反応を蛍光検出するアッセイ系を用い、9,600個の低分子多様性有機化合物ライブラリー(終濃度10µM)のHTSから30%以上活性を阻害する1次ヒットを63個得た。今年度は、HPLCを用いた2次スクリーニングを行い、40%以上の酵素阻害活性を示す3個の2次ヒットを得た。これらについて、シロイヌナズナのもう一つのSAGT(UGT74F1)に対する影響を調べたところ、全てが阻害活性を示した。つぎにシロイヌナズナの培養細胞が非親和性の斑葉細菌病菌の感染に対して誘導する過敏感細胞死への影響を調べたところ、2つが濃度依存的な細胞死の活性化を示したが、1つは活性を示さなかった。培養細胞で活性を示した2つの薬剤について、ミナトカモジグサへの噴霧処理を行い、紋枯病菌の接種実験を行ったところ、これらは共に抵抗性誘導効果を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
既に当初計画した化合物の同定に成功し、それらは植物体において病害抵抗性誘導活性を示すことを明らかにできた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究において極めてハイスループットな探索系が確立でき、またその有用性が実証できたことから、当初の計画を大幅に超えた22万個の化合物のスクリーニングを実施する予定である。補完的手法として計画していたSICLOPPS法は実施せずに、低分子化合物からの有用物質の同定に注力する。
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Causes of Carryover |
探索手法の変更により、必要となる検出機器がHPLCからプレートリーダーに変わったため、HPLCの購入費用を探索のための人件費として使用することにしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
探索のための技術補佐員の雇用のための経費として使用する。
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Remarks |
http://noutoshi-lab.com
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Research Products
(6 results)