2013 Fiscal Year Annual Research Report
アーバスキュラー菌根菌の共生最初期過程を制御する新奇宿主因子の機能解明
Project/Area Number |
25292041
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
今泉 温子 独立行政法人農業生物資源研究所, 植物共生機構研究ユニット, 研究員 (20391592)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 植物 / 微生物 / 共生相互作用 / 分子生物学 / 遺伝学 |
Research Abstract |
アーバスキュラー菌根共生を制御する宿主植物の遺伝子研究は、菌根菌・根粒菌の感染受容化を制御する共通シグナル伝達経路の解析を基盤として発展してきたが、共通シグナル伝達経路下流の菌根共生遺伝子研究は、菌根共生変異体の単離などの順遺伝学的アプローチの困難さゆえ進んでいない。一方、マメ科植物のミヤコグサでは、LOREミュータントパネルの整備が急速に進むなど、逆遺伝学的手法に基づき、新奇共生遺伝子の機能解析を進める研究基盤が整いつつある。 我々は、共通シグナル伝達経路の中枢因子であり、菌根菌・根粒菌の感染制御因子であるCCaMK遺伝子に機能獲得型変異を導入し、デキサメタゾン処理により発現誘導する系を構築した。菌根菌感染は同調的には起こらず、菌根菌感染最初期に発現変動する遺伝子をとらえることはこれまで困難であったが、同系を用いることにより、菌根菌感染初期過程において発現が強く誘導される、新奇菌根共生制御候補遺伝子群を選定した。 これらの遺伝子群について、ミヤコグサのLOREミュータントパネルからの、当該遺伝子が破壊された変異体の取得と、同変異体の菌根菌共生表現型の解析を行い、新規菌根共生遺伝子の同定を目指す。 さらに、TAP-MS法、及び、split ubiquitin YTH法を用い、新奇候補遺伝子群がコードするタンパク質と相互作用する新奇因子の探索と機能解析を行い、CSP下流において菌根菌感染を制御する分子メカニズムを解明する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究対象となる遺伝子の中に、クローニングが非常に難しいものがあり、目的とするコンストラクト作成に、通常の遺伝子に比べ、数倍の労力を要した。 これらの理由から、平成26年度からの解析に必要とされるコンストラクト構築、ライブラリー構築については、若干時間を要しているが、平成25年度計画については、ほぼ記載内容を実行している状況である。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に整えた研究基盤のもとに(LORE挿入変異系統の取得、種子増殖)、平成26年度より、新奇菌根共生制御候補遺伝子群の、菌根共生への直接的関与について解析を行う。 さらに、候補遺伝子群がコードする因子との相互作用因子の探索から、共通シグナル伝達経路下流における、菌根共生制御機構の分子メカニズムの解明を進める。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
TAP-MS解析外注予算を計上していたが、タグ付きタンパク質発現用ベクターの構築に時間を要したことから、本年度予算消化できなかった。 次年度、研究の進捗状況を見ながら、TAP-MS解析外注予算として使用予定である。
|