2014 Fiscal Year Annual Research Report
油脂のセファリックな信号解析に基づく人工油脂の設計に向けた科学的基盤構築
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25292071
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伏木 亨 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (20135544)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | fatty acid / palatability / cephalic / dietary fat / cooking |
Outline of Annual Research Achievements |
マウスなどの実験動物が、軽度に参加された油脂が添加された食物を好むことは前年度に明らかにした。この成果の実用化に向けて、ヒトが従来食用としてきた食経験のある食材や食品の中にも、調理によって酸化された油脂が嗜好性に作用しているものがあると考え、探索した結果、特に、油揚げなど古くから嗜好性を高めるために用いられてきた食材の中に、微量の油脂香気があり、酸化された脂肪酸であることを明らかにした。成分分析を継続しているが、2-Heptenal, Heptandienal, 2,4-Decadienalなどが有力である。ヒトを用いた予備実験では、これらを含む油脂の香気画分が調理した野菜類などの嗜好性を高めることを明らかにした。次年度には、後期の成分分析を継続するとともに、ヒトを用いた嗜好性実験を行い、各種の食品への添加効果を明らかにする予定である。 微生物発酵によって生産された脂肪酸代謝産物についても、インビトロスクリーニングを拡大し、受容体と高い親和性を持つものを探索した結果、オレイン酸とほぼ同等のセファリックな刺激の強い脂肪酸の存在を見出した。動物実験による安全性の確認が必要であるため、今後、この脂肪酸を用いた実験に必要な量の生産を依頼する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
油脂の高い嗜好性に関わる要素として、油脂由来の脂肪酸の調理香(酸化香)が重要であることを示し、ヒトを用いた予備実験を行なった点で進展は著しいが、微生物代謝産物に有力な成分を見出したものの、試料が大量には入手できず、安全性を確認する実験には至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
微生物生産物の作用については、大量生産系の発展を待つことにして、この時点で一時中断する。ヒトを用いた実験で食体験を有する加工食品成分に油脂の酸化に由来する成分を見出したので、実用化に近いという判断から、この面をさらに重点的に進めることで、実用化基盤構築という初期の目的を達成する。
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