2014 Fiscal Year Annual Research Report
食事性フラボノイド配糖体の体内代謝物による内因性生体防御機構の活性化
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25292073
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
中村 宜督 岡山大学, その他の研究科, 教授 (60324381)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 陽二 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (30305693)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ポリフェノール / ケルセチン / 生体内代謝物 / 分子標的 / DOPAC / クリックケミストリー / ビオチンラベル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、摂取頻度の高いタマネギ由来ケルセチン-4´-グルコシド(Q4´G)の腸内細菌叢による異化で生成する代謝物群に着目し、これらの内因性生体防御活性化作用とその標的分子を明らかにするとともに、フォワードケミカルジェネティクス的手法により、腸内細菌叢によるフラボノイド異化反応の生理的意義を明らかにしようとした。本年度の成果を以下に示す。 1)Q4´G体内代謝物であるフェノール酸異化物の生理活性の評価を行った。Q4´G体内代謝物を24時間処理した細胞は過酸化水素誘導細胞死に対して抵抗性を示す一方で、Q4´G体内代謝物を30分処理した細胞では効果が認められなかったことから、Q4´G体内代謝物は遺伝子発現を介して内因性抗酸化機能を亢進する可能性が示唆された。 2)DOPACとの相互作用が証明されているglyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase(GAPDH)をモデルタンパク質として、in vitroでの求電子反応による修飾作用を評価し、GAPDH-DOPAC付加体をclick chemistryによるbiotin標識により検出に成功した。 3)catechol構造を持つ抗酸化性ポリフェノールとして著名な茶カテキンによる細胞増殖抑制作用を調査し、過酸化水素依存的経路だけでなく、過酸化水素非依存的経路の存在を指摘し、求電子反応性の寄与を示唆した。 4)求電子性化合物の持つ普遍的な生理機能の評価を行い、a) カルシウムイオノフォア誘導MAPキナーゼ経路活性化及びサイトカイン発現の調節作用、b) p53変異大腸がん細胞特異的な増殖抑制作用、c) 求電子性によるグルタチオン消費作用と皮膚炎症増強作用、などを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の交付申請書に記載した計画のうち、1)Q4´G体内代謝物の生理活性として、内因性抗酸化機能の亢進を明らかにした、2)DOPACのタンパク質修飾作用についてはモデルタンパク質との付加体形成とその検出に成功した、3)求電子性物質に普遍的で特徴的な生理活性を明らかにした、などの成果を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
DOPACのタンパク質修飾作用について、モデルタンパク質を用いた分子機構の解明だけではなく、生体内環境での修飾作用を明らかにするために、標的分子の同定を考慮した研究を推進する必要がある。そのため、表現系に関連した酵素群を想定した実験系の構築により、標的分子の絞り込みを行う予定である。そこで、次年度は、薬物代謝酵素と共通の誘導機構を有することが明らかになりつつあるアルコール代謝酵素(aldehyde dehydrogenase)の誘導作用を明らかにする。解明された生理活性については、想定されるシグナル伝達を下流から上流に遡って解析する。
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Causes of Carryover |
基金の未使用分を繰り越したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
複数の細胞株を用いた各種培養細胞実験の同時並行での遂行による血清を含む試薬類、プラスチック容器の消費の増大が想像されるので、血清、培養細胞試薬類・器具類、クロマトグラフィーに関連した試薬、カラム等の消耗品は優先的に充足を考えている。例えば、血清に関しては、用いる細胞種が最低4種、1細胞種につき3ヶ月に1本の血清 (10%血清培地にして5 Lの換算) が、最低継代には必要である。試薬については、単体で50,000円以上の一次抗体類を複数購入しなければならないため、妥当であると考えている。
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Research Products
(11 results)