2014 Fiscal Year Annual Research Report
RNA分解酵素の発現制御によるスギの雌雄両性不稔化技術の開発
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25292093
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
谷口 亨 独立行政法人森林総合研究所, 林木育種センター, 課長 (00360470)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小長谷 賢一 独立行政法人森林総合研究所, 森林バイオ研究センター, 主任研究員 (30582762)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | スギ / 遺伝子組換え / 雄性不稔化 / 雌性不稔化 / RNA分解酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
スギ花粉症対策に資するために遺伝子組換えによるスギの雄性不稔化技術の開発を進め、雄花特異的遺伝子のプロモーターで特異的にRNA分解酵素遺伝子を発現制御することによりスギを雄性不稔化することに成功した。しかし、遺伝子組換えによる雄性不稔化スギを野外で実用的に栽培するためには組換えスギからの種子による導入遺伝子の拡散を防止することが必要と考えられる。そこで、花粉形成抑制と同時に種子形成を抑制する両性不稔化組換えスギを作製する技術の開発が必要である。また、遺伝子組換えのターゲットとなるスギの不定胚形成細胞を長期間安定的に保存し、必要なときに遺伝子組換え操作を行うことができるようにするために凍結保存技術の開発が必要である。今年度は、液体窒素に保存したスギの不定胚形成細胞を融解し、再増殖することを確認するとともに、保存後の不定胚形成細胞の不定胚形成能力や不定胚の発芽率は液体窒素での保存により影響を受けることがないことが示唆された。また、雄性不稔化ベクターを導入した組換えスギについては、隔離ほ場での栽培申請を行い、承認された。これにより、雄性不稔化ベクターの有効性を野外において実証することが可能となった。雌性不稔化のためには、これまでに獲得したスギの雌性生殖器官の分化段階別のcDNAライブラリーの次世代シーケンス情報を解析し、栄養生殖器官での発現量と比較することにより、雌性生殖器官での発現の特異性が高い遺伝子候補群を特定することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
スギの不定胚形成細胞の液体窒素での保存や保存後の特性評価は順調であり、優れた結果が出ている。雄性不稔化については野外での評価を実施できる段階になった。雌性不稔化についても雌性生殖器官特異的な遺伝子の特定が順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
近年、ゲノム編集が植物においても積極的に研究され、モデル植物では植物育種に利用可能であることが示されている。スギにおいても今後はゲノム編集を活用し、雌性不稔については本研究の成果を利用して雌性生殖器官の分化制御を実施したい。
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