2014 Fiscal Year Annual Research Report
亜熱帯域島嶼における南根腐病菌の病理学的特性の解明とその制御
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25292096
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
太田 祐子 独立行政法人森林総合研究所, 森林微生物研究領域, チーム長 (60343802)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 力 独立行政法人森林総合研究所, 森林微生物研究領域, 室長 (00353813)
佐橋 憲生 独立行政法人森林総合研究所, 森林微生物研究領域, チーム長 (10202102)
秋庭 満輝 独立行政法人森林総合研究所, 森林微生物研究領域, 主任研究員 (50353553)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 南根腐病 / 温度特性 / 薬剤試験 / マイクロサテライトマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、南西諸島および小笠原諸島などの亜熱帯域の島々において、防風・防潮林等に猛威を振るっている南根腐病について、病原菌の病原力、生理・生態的諸特性、宿主の抵抗性/感受性、病原菌の侵入・拡大過程を明らかにし、そこで得られた基礎情報を統合することで、環境に配慮した総合的な制御技術を開発することを目的とする。本年度は、1)病原菌の諸性質のうち温度特性を明らかにし、2)薬剤および拮抗微生物の選抜、3)クローン分布を明らかにするための分子マーカー開発を行った。その結果、1)南根腐病菌の成長可能温度(10~35度)、最適温度(25~30度)、低温耐性は菌株によりバラツキがあること(0度で4週間以上生存する菌株が存在)が明らかになった。2)薬剤については三種類の土壌燻蒸剤の効果を土壌中に埋設した病原菌接種済みの木片を用いて検証した。拮抗微生物については小笠原産の菌から、いくつか見いだすことができた。さらに、3)全ゲノム情報に基づいたマイクロサテライトマーカ-を約20組開発し、これらがクローン解析に有効であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた三つの項目1)病原菌の温度特性を明らかにする、2)薬剤および拮抗微生物の選抜、3)クローン分布を明らかにするための分子マーカー開発について、予定通り研究を進め、想定していた結果を得ることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、前年度開発したSSRマーカーを用いて小笠原諸島内における病害拡大地、非拡大地における病原菌のクローン分布の相違を詳細に明らかにすることにより、感染様式を明らかにする。前年度までに選抜した薬剤について野外での施用を視野に入れた試験を実施し、病害発生跡地からの感染拡大の制御手法の可能性を示す。病害発生および拡大に関わる環境要因と病原菌の生理・生態的特性を統合し、南根腐病の発生拡大危険地を明らかにし、耕種的および化学的防除のオプションを示す。
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Causes of Carryover |
南根腐病菌のジェネット解析について、南西諸島と小笠原諸島の各島から選抜した代表株についての実験と分析を終了したが、小笠原諸島父島および母島内の詳細なジェネット解析のためのDNA抽出およびマイクロサテライト分析について次年度実施することにしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
小笠原諸島父島および母島内の詳細なジェネット解析のため、DNA抽出およびマイクロサテライト分析にかかる費用に使用する。
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