2014 Fiscal Year Annual Research Report
温暖化で台風頻度・強度が変われば森林生態系はどう変わる?
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25292100
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
齊藤 哲 独立行政法人森林総合研究所, 植物生態研究領域, 室長 (30353692)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永松 大 鳥取大学, 地域学部, 教授 (20353790)
山川 博美 独立行政法人森林総合研究所, 九州支所, 研究員 (00582751)
新山 馨 独立行政法人森林総合研究所, 国際連携推進拠点, 拠点長 (70353795)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 台風撹乱 / 被害量 / 回復速度 / 再来間隔 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、地球温暖化で突発的気象現象である台風の強度・頻度が変化する場合の森林群落への量的・質的な影響を解明することを目的とする。今年度のフィールド調査では台風撹乱後の回復過程に関連して、次世代の上層階層を担うと期待される稚樹群のセンサスを屋久島の照葉樹林において実施した。前回の2009年時の調査と比べ、全体的に稚樹数が減少しており、シカの影響が増大したと考えられた。今後台風撹乱後の回復課程においてもシカの影響が出てくることが懸念された。また、綾試験地においても1haの面積で個体群センサスを実施し、H26年度の台風による被害状況を確認した。H26度は特に大きい台風もなく、顕著な被害はみられなかった。 シミュレーションモデルに関しては、おおよその骨格を構築し、中国で開催された第6回東アジア生態学会においてその概要を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H26年度研究計画にあった綾試験地での成木の個体群センサスと屋久島試験地での稚樹センサスは予定通り実施した。フィールド調査に関しては予定通り進捗している。 また、シミュレーションモデルに関しても、H26年度研究計画通り、暫定的ながら各サブモデルを組み合わせた全体の骨格モデルを構築した。現時点のモデルを用いた個体群動態の予測では個体数が過大となる種もみられるが、各サブモデルにおける問題点や修正が必要な点を整理し、次年度のモデルの高度化に関する方向性が見えてきた。 以上のことから、全体的に申請書の計画通りに順調に進捗しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
H27年度にはフィールド調査として引き続き綾試験地の成木の毎木センサスを実施し、毎年の台風による被害状況や回復量に関するデータを蓄積する。また、回復に大きく影響すると考えられる萌芽の調査も実施する。 H26年度に骨格を構築した全体モデルのなかの各サブモデルにおいて、影響の大きい要因を精査し、必要に応じて変数を選択し予測性の高いモデルに改良する。
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Causes of Carryover |
屋久島試験地の稚樹センサスと綾試験地の成木センサスにおいて、効率的に実施でき、旅費が抑えられたため。また、風況モデルにかかる維持経費の一部が不要になったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
フィールド調査の旅費ならびにデータ整理・解析補助のための人件費として使用する。
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Remarks |
webページタイトル「人工林施業の長伐期化に対応した将来木選定の指針策定」は主に人工林を対象にしたものであるが、成長に関するシミュレーションモデルを構築したもので台風撹乱後の残存木の成長(回復過程)とも関係する。森林総合研究所の Web サイトで公開した。
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Research Products
(6 results)