2015 Fiscal Year Annual Research Report
紅藻由来フィコエリスリンの脳機能改善作用とそのメカニズムの解明
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25292121
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岸村 栄毅 北海道大学, 水産科学研究科(研究院), 准教授 (50204855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 亨介 高知大学, 自然科学系, 准教授 (00399114)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 紅藻 / ダルス / フィコビリタンパク質 / フィコエリスリン / 抗酸化作用 / 脳機能改善 / 促進老化モデルマウス / 次世代シーケンス |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢化の進行に伴い認知症(50~60%がアルツハイマー型)罹患者が急増しており、深刻な社会問題となっている。認知症対策において脳の老化予防は重要な戦略と考えられ、老化予防の研究として食品由来の抗酸化物質の効果に関するものもある。我々は、紅藻ダルス Palmaria palmata が光合成補助色素の一種フィコエリスリン(PE)を豊富に含有し、それが抗酸化機能を有することを見出した。そこで本研究では、ダルス由来PEが脳機能改善作用を示すと予測し、その効果を明らかにすることを目的とした。昨年度は、促進老化マウスSAMP8を用いてダルスPEの脳機能改善作用を検討したが、良好な結果が得られなかった。そこで本年度はSAMP10を用いてダルスPEの脳機能改善作用を検討した。また、ダルスPEの遺伝子構造特性とその生合成経路の解明を試みた。 蒸留水投与群、カテキン溶液投与群およびPE溶液投与群に対して、8週齢から44週齢まで試料投与を行い、各群の生存率、モーリス水迷路試験等により各個体の老化および学習・記憶能を評価した。その結果、蒸留水投与群、カテキン溶液投与群およびPE溶液投与群の生存率はいずれも70%であった。しかし、モーリス水迷路試験の結果、3群間で逃避潜時に統計的な有意差が認められた。すなわち、蒸留水投与群の逃避潜時と比較して、カテキン溶液投与群およびPE溶液投与群のそれらは有意に短い結果が得られた。また、10週齢から40週齢においてサーカディアンリズムの測定を行った。その結果、20週齢から40週齢の間の摂餌量(暗期/明期)の減少が、蒸留水投与群と比較してカテキン溶液投与群およびPE溶液投与群において有意に抑制された。 一方、ダルス以外の紅藻類としてツルシラモの葉緑体DNAの解析を行い、完全長の配列を得ることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
促進老化(短寿命)マウスをSAMP8からSAMP10に変更してダルス由来フィコエリスリンの脳機能改善作用を検討したところ、当初予測した結果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画通り研究を進める。学習・記憶障害試験においてはSAMP10マウスを用いる。
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Causes of Carryover |
学習・記憶障害動物試験系およびDNAマイクロアレイによる解析系の構築に時間を要した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度は当初計画に沿って研究を遂行する。
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Research Products
(3 results)