2014 Fiscal Year Annual Research Report
オスとメスの違いを生み出す魚類の脳内メカニズムの解明
Project/Area Number |
25292124
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大久保 範聡 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (10370131)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 水産学 / 生理学 / 神経科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
魚類においては、攻撃性や繁殖行動、成長や性成熟、ストレス耐性など、水産増養殖の可否や商品価値の高さに直結する形質の多くが、顕著な雌雄差を示す。それらの雌雄差の大部分は、脳内に存在する何らかの雌雄差に起因すると考えられるが、その実体は全く明らかとなっていない。我々はこれまで、メダカの脳内で発現に雌雄差を示す遺伝子の網羅的スクリーニングを行い、脳でオス・メス特異的に発現する遺伝子群を単離・同定してきた。本研究では、それらの遺伝子群の中で、水産業にとって重要な形質の雌雄差に深く関わっていることが想定される遺伝子に着目し、その機能と作用機序を解析することとした。それにより、それらの形質がどのような脳内メカニズムによって生じているのかを明らかにする。 1)本年度はまず、本研究で着目した遺伝子の一つをノックアウトしたメダカの表現型を解析した。その結果、まだ予備的なデータではあるが、下垂体と生殖腺の形態に特異な表現型が見出された。 2)また、本研究で着目した遺伝子に関わる新規の遺伝子を発見し、その構造、発現、生化学的特徴を明らかにした。その結果、この遺伝子はストレス耐性などの水産増養殖の可否に直結する形質に関わる役割を担っていることが示唆された。 3)その結果を受け、メダカの脳内でストレス耐性に関わる遺伝子の発現を解析したところ、ストレスが性行動や攻撃行動に与える影響の大きさに性差が存在することを示唆する分子的なエビデンスを得ることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定よりも遅れている研究項目もあるが、当初は予想していなかった成果も得られており、差し引きで考えると、おおむね順調に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究が順調に進んでいるので、このまま推進していく。
|
Research Products
(3 results)