2014 Fiscal Year Annual Research Report
ユ-ザ-フレンドリ-な新規海洋生物多様性測定システムの開発
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25292130
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Research Institution | Fisheries Research Agency |
Principal Investigator |
長井 敏 独立行政法人水産総合研究センター, 中央水産研究所, グループ長 (80371962)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安池 元重 独立行政法人水産総合研究センター, 中央水産研究所, 研究員 (20604820)
中村 洋路 独立行政法人水産総合研究センター, 中央水産研究所, 研究員 (90463182)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | メタゲノム解析 / DDCA / 海洋プランクトン / 海洋細菌 / 18S-rDNA / ユニバーサルプライマー |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、下記の3つの内容を中心に研究、1)標的遺伝子群のシーケンスデータの収集+種名情報を付加したDNA プローブセットの作成、2)NGS メタゲノムデータを用いたシステムの精度検証、3)結果をビジュアル出力するための集計表+グラフ機能を付加するためのプログラム開発を実施した。これらの研究により、バイオインフォマティクスの専門家でなくとも容易に精度の高いメタゲノム解析を行い得る「ユーザーフレンドリーな海洋生物多様性測定システム」を開発することを目的としている。 1)については、公的データベースからダウンロードした配列をそのままプローブとしてDDCAに登録し、次世代シーケンスデータ(NGS)に対してDDCA上でハイブリダイゼーションすると、プローブ数があまりに多くなり(18S-rDNA配列で15万個程度)、解析に時間がかかることが判明したので、1種から1個の代表配列を抽出してプローブ配列とすること、また、名前が種レベルまでつけられていない登録配列は削除するようなプログラムを作成し、登録数を減らすことに成功した。 2)については、実際に海水サンプルからNGS メタゲノムデータを取得し、Mothur 等で推奨されているメタゲノム解析プラットフォームによる種同定結果と本提案の新規システムによる種同定結果の比較を行い、高感度で標的種が検出されていることを確認することができた。 3)については、DDCA から出力された解析結果について、出現種を取りまとめた表とグラフ作成、サンプル間や海域間の主成分分析や種毎の出現頻度を示すヒートマップ等を出力する機能を持ったプログラムを開発を行い、ほぼ予想していた内容の表作成、グラフ機能を有するソフトウェアを作成することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)ユニバーサルプライマーの開発: プランクトンや細菌のメタゲノム解析が可能なユニバーサルプライマーについて、当初の目的どおり開発することに成功した。また、その性能につい ても評価することができたので、当初の予定通りの研究が進展した。 2)標的遺伝子群のシーケンスデータ収集と種名を付加したプローブセットの作成: 公的核酸データベースから必要な配列の抽出方法、クラスタリング、プローブとして用いるのに必要な部分の切り出し等の作業を自動化するプラットフォームを完成させ、必要な時に、標的の遺伝子領域のプローブ配列の自動的な更新を可能とするプログラムを完成させることができた。今年度は、さらにプローブ数を必要最小限に減らすプログラム開発を行い、開発に成功したので、予定通りの進展と言える。 3)NGSデータを用いたDDCAの精度検証: 複数種の配列をプローブとしてDDCAに登録し、Mothur 等で推奨されているメタゲノム解析プラットフォームによる種同定結果と比較したところ、精度良く標的種が検出されていることを確認したので、予定通りの進展と言える。 4)集計表としての出力、スーパーグループ、門、綱、科、属レベルの組成円グラフ、類似度指数、ヒートマップ、NMDSプロット等のグラフ機能を有するソフトウェアの開発に成功したので、予定通りの進展と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
ソフトウェアの操作性の検証 DNAプローブセットの自動更新機能、集計表+グラフ機能などのメタゲノム解析結果を出力・ビジュアル化するプログラムとDDCA との連携において、必要なオプションの有無、その操作性を検証する。これにより、ユーザーフレンドリーなシステムの開発を目指す。また、これまでにかかげた5つの研究開発を引き続き実施するとともに、各課題で得られた成果を学会発表、論文等に作成するなど、精力的に成果の公表を行い、本プログラムを用いた海洋生物モニタリングの世界標準化を目指す。プログラムが完成した段階で、「ユーザーフレンドリーな海洋生物多様性解析システムの講習会」というタイトルで講習会を開催し、標準手法のアピール・普及に尽力する。この手法は、海洋分野にととまらず、陸域の生物、例えば、鳥の糞からその食性をメタゲノム解析したり、動物、昆虫等の腸内の細菌叢を調べたり、バイオインフォマティクスの専門家でなくともNGSデータから必要な情報を効率よく抽出できる手法であり、普及のための仕掛け、予算取りのための戦略を考えたりする予定である。
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Research Products
(4 results)