2014 Fiscal Year Annual Research Report
非経済的要因を組み込んだ青果物消費構造モデルの構築と検証
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25292137
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
大浦 裕二 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (80355479)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中嶋 晋作 明治大学, 農学部, 講師 (00569494)
木立 真直 中央大学, 商学部, 教授 (10224982)
小野 史 明治大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (30621627)
霜浦 森平 千葉大学, 園芸学研究科, 助教 (40372354)
森尾 昭文 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, その他部局等, 研究員 (50292511)
茂野 隆一 筑波大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (60292512)
櫻井 清一 千葉大学, 園芸学研究科, 教授 (60334174)
河野 恵伸 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, その他部局等, 研究員 (70355478)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 家計調査個票 / 食行動記録システム / 需要体系モデル / 共分散構造分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.「食行動記録システム」を用いた食品の購入から調理、摂取までの行動の把握:平成25年度に実施した食行動記録調査で得られたデータを用いて、分析手法の検討を行い、部分的な因果関係を明らかにするために、小サンプルにて分散分析およびロジット分析を行い、所得の影響及び価値観の影響があることが明らかになった。さらに、新しいテキスト分析を行う方法として、日本語形態素解析システム JUMANを利用することも取り決めた。 2.「家計調査個票による品目別需要関数の計測」:昨年度実施した家計調査個票データを用いた需要体系モデル(AIDS)による野菜の弾力性の計測について、2015年度の国際農業経済学会にて報告するための英文作成およびエントリーを行ったところ、ポスター発表による報告を受理された。 3.共分散構造分析実施のための消費構造モデルの構築とプレアンケート調査:上記2つの結果を踏まえて、意識、価値観などの非経済的変数に加えて所得などの経済的変数とした共分散構造モデルを仮説的に作成し、2015年3月に大都市圏(東京、名古屋、大阪)の住民1000人を対象に中規模のアンケート調査を実施した。 4.国内および欧米の生産、流通、小売、及び専門家への聞き取り調査:フランスの有機農産物の宅配事業であるAMAP (Associations pour le Maintien de l’Agriculture Paysanne :農民的農業維持協会)にてヒアリング調査を行い、品質および価格設定、さらに利用に関する消費者の意識や所得階層について確認できた。さらに、フランスにて、パリ第8大学の小坂井氏から社会心理学の観点からみた食に関するフランス人の意識や行動に関する知見を得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4つの課題に分かれて研究を進めており、課題間で進捗状況は異なるものの、全体を通してほぼ計画通りに進んでいる。具体的な進捗状況は以下のとおりである。 1.「食行動記録システム」を用いた食品の購入から調理、摂取までの行動の把握:コーディングされたデータの分析は進んでいるものの、自由回答形式の分析がやや遅れている。ただし、新しいテキスト分析である日本語形態素解析システム JUMANを利用することにより、利用方法などについて次年度にむけて整備しているところである。 2.家計調査個票による品目別需要関数の計測:本課題においては、計画以上に進んでおり、具体的な成果も出ている。そのレベルは、国際学会での個別報告に達するレベルである。 3.共分散構造分析実施のための消費構造モデルの構築とプレアンケート調査:共分散構造モデルを仮説的に作成し、都市部の住民1000人を対象に中規模のアンケート調査を実施したことから、おおむね順調に進んでいる。 4.青果物消費拡大への取り組みに関する研究交流:2013年度及び2014年度の調査から、欧米の青果物の生産、流通、小売、消費の実態を部分的に把握できたことから、おおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、2014年度までの研究結果を踏まえて研究課題ごとに実施し、最終的な成果である「わが国の青果物消費の規定要因」について取りまとめる。取りまとめた成果は、その結果を学会報告及び論文投稿を行う。 1.青果物消費構造モデルの検証による因果関係の解明:前年度のアンケート調査データを用いて、前年度に構築した青果物消費構造モデルをもとに共分散構造分析を行い、所得階層別及び世帯属性別に、規定要因を実証的に明らかにする。 2.青果物消費拡大への取り組みに関する研究交流:実効性の高い政策提言に向けて、国内外の農業経済学及び関連分野(栄養学等)の研究者、政策担当者等との意見交換を行う。その際、本研究の成果を提示しコメントを得る。さらに、必要に応じて国内および海外の補足調査を行う。 3.青果物消費の規定要因を踏まえた消費拡大方策の検討:得られた知見を総合的に検討し、消費拡大に向けた取り組みのターゲットやプログラム、消費者が取り入れやすい商品形態等の観点から青果物の消費拡大方策を明らかにし、3年間の研究成果として取り纏める。
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Causes of Carryover |
家計調査個票による品目別需要関数の計測に関する研究について、国際学会(2015年8月開催)での個別報告にエントリーし事前審査を経て受理されたが、2015年度の予算が減額されているため、次年度に繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際農業経済学会(イタリア国ミラノ市)にて、「Household Salads Consumption in Japan: An Application of the Two-step Demand System」の報告を行うため、その投稿日及び滞在費に使用する予定である。
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Research Products
(14 results)