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2014 Fiscal Year Annual Research Report

植物のストレス防御反応を利用した植物工場野菜の高付加価値化環境制御法の開発

Research Project

Project/Area Number 25292150
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

清水 浩  京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (50206207)

Project Period (FY) 2013-04-01 – 2017-03-31
Keywords施設園芸・植物工場 / 高付加価値 / 遺伝子発現 / 環境調節
Outline of Annual Research Achievements

平成26年度は,ホウレンソウのアスコルビン酸 (AsA) 生合成酵素の遺伝子発現量の増減、および抗酸化機構中のAsA代謝酵素の遺伝子発現量の増減から、低温ストレスによるAsA含量増加のメカニズムを解明し、高付加価値ホウレンソウを作出する最適環境条件を迅速に見出す方法を構築することを目的として、実験を行った。生合成酵素として、D-マンノース/ L-ガラクトース経路中のホスホマンノースイソメラーゼ (PMI) とL-ガラクトース脱水素酵素 (L-GalDH) に着目し、代謝酵素として、活性酸素消去系で作用するアスコルビン酸ペルオキシダーゼ (APX) のうち、細胞質APX (cAPX) と葉緑体APX (chlAPX) に着目した。遺伝子発現解析に必要なホウレンソウのPMI塩基配列はまだ解明されていなかったため、様々な植物のPMIアミノ酸配列をもとに、ディジェネレートプライマーを設計することで、ホウレンソウPMIの遺伝子塩基配列の一部を解明することに成功した。
代謝酵素の遺伝子発現量の減少により、AsAの蓄積が起こるのではなく、生合成酵素の遺伝子発現量の増加がAsAの蓄積に大きく影響することが示唆された。よって、本研究の目的であるPMI, L-GalDHなどのAsA生合成酵素の遺伝子発現量の変化を指標として、最適環境条件を検討することは将来的には可能であることを見出した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

D-Man/ L-Gal経路の初発酵素PMIはホウレンソウにおいて遺伝子塩基配列が解明されていなかった.しかし,酵素について遺伝子発現解析を行うには,塩基配列の解明は不可欠である.そこで,ホウレンソウにおけるPMI遺伝子塩基配列をモデル植物等のアミノ酸配列をもとに設計したディジェネレートプライマーを利用して増幅させ,DNAシーケンスを用いて解明した.
また,低温処理に供したホウレンソウ葉からRNAを抽出し,これをもとに合成したcDNAと前述のディジェネレートプライマーを用い,逆転写PCR (RT-PCR)反応を行った.PCR産物をアガロース電気泳動に供し,プライマーの組み合わせ(F1, R3) (F1, R4) (F4, R4)で目的の大きさのバンドが確認された.その後の実験で(F1, R3)では,アニーリング温度50℃が最適であり,十分な長さのDNA断片が得られたため,これをDNAシーケンスに供し,塩基配列を決定した.DNAシーケンスにより得られた遺伝子塩基配列は,ブドウ (Vitis vinifera, LOC100263511) ,トマト(Solanum lycopersicum, LOC101256451) ,ダイズ(Glycine max, LOC100805195) の既知PMI塩基配列に対しそれぞれ67%の相同性を有した.これは得られた遺伝子塩基配列がホウレンソウPMIの配列と考えるのに十分な値であった. また,他の植物体のPMIに存在するモチーフ配列がシーケンスにより得られた配列中にも存在することからも,シーケンスによって得られた配列がホウレンソウPMIのものと考えて問題はないと考えられる.

Strategy for Future Research Activity

以上のことからも分かるように,AsA生合成経路中の多くの酵素がAsA含量の増減に関与していることは明らかである.しかし,どの酵素が最もAsA含量の増減との相関性があるのかについては,環境ストレス条件や植物の種類などで異なり,モデル植物においてもいまだ完全には解明されていない.
本研究では,PMI, L-GalDHに着目し,ホウレンソウにおいて低温ストレス付与時にAsA含量の増加に伴い,両酵素が増加傾向にあることを明らかにしたが,今後,研究目的であったAsA生合成酵素の発現量の変化を指標として,最適環境条件を検討するためには,さらに多くのAsA生合成酵素について研究を行い,最適な酵素を選択する必要があると考えられる.

Causes of Carryover

数千円の残額が生じたが,26年度に購入すべき物品が見当たらなかったので次年度に回した。

Expenditure Plan for Carryover Budget

27年度予算とあわせて物品を購入する予定である。

  • Research Products

    (4 results)

All 2014

All Presentation (4 results)

  • [Presentation] Gene expression profiles of high-value-added Stevia rebaudana under various environmental conditions in a plant factory2014

    • Author(s)
      Yuki Yoneda, Hiroshi Shimizu, Hiroshi Nakashima, Juro Miyasaka, Katsuaki Ohdoi
    • Organizer
      The International Conference on Plant Factory 2014
    • Place of Presentation
      Kyoto University
    • Year and Date
      2014-11-10 – 2014-11-12
  • [Presentation] Effect of low temperature on gene expression of the ascorbic acid biosynthetic enzyme in spinach2014

    • Author(s)
      Ayaka Nakai, Hiroshi Shimizu, Hiroshi Nakashima, Juro Miyasaka, Katsuaki Ohdoi
    • Organizer
      The International Conference on Plant Factory 2014
    • Place of Presentation
      Kyoto University
    • Year and Date
      2014-11-10 – 2014-11-12
  • [Presentation] 植物工場内における環境刺激に対する遺伝子発現を利用した高付加価値2014

    • Author(s)
      米田有希,清水浩,中嶋洋,宮坂寿郎,大土井克明
    • Organizer
      農業食料工学会関西支部第132回例会
    • Place of Presentation
      岐阜大学サテライトキャンパス
    • Year and Date
      2014-09-25 – 2014-09-25
  • [Presentation] 根圏低温処理がホウレンソウのアスコルビン酸生合成酵素の遺伝子発現に与える影響2014

    • Author(s)
      中井彩香,清水浩,中嶋洋,宮坂寿郎,大土井克明
    • Organizer
      日本生物環境工学会2014東京大会
    • Place of Presentation
      明治大学駿河台キャンパス
    • Year and Date
      2014-09-08 – 2014-09-11

URL: 

Published: 2016-06-01  

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