2016 Fiscal Year Annual Research Report
植物のストレス防御反応を利用した植物工場野菜の高付加価値化環境制御法の開発
Project/Area Number |
25292150
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
清水 浩 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (50206207)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 施設園芸・植物工場 / 高付加価値 / 遺伝子発現 / 環境調節 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はステビアを対象として,刺激を与えた場合の生合成経路の酵素発現等を実験的に調べ甘味成分であるステビオール配糖体群(SGs)の合成を促進する環境条件を見出すことを目的としている。刺激としては光質,光強度,植物ホルモンを取り上げ,光環境に関しては,SGsとジベレリン生合成経路で共通しているGTs酵素のKOと,SGs生合成経路のUGT85C2,UGT74G1,UGT76G1の2つの遺伝子発言量が,R/FRの低い条件で促進することが判明した。また,植物ホルモンを刺激とした場合,ステビオール配糖体(SG)の生合成がどのように変化するかを定量的に調べた。 SGの生合成経路は、ent-カウレン酸の形成を介してジベレリン(GA)の生合成経路を共有する。過去の研究では、SG関連遺伝子が外因性GA処理によってアップレギュレートされることが実証されている。しかしながら、ステビオールモノシドからのステビオールへのグリコシル化段階に関与し、SG生合成における律速段階を示唆するUGT85C2の転写レベルは、GA処置によって議論の余地が残っている。SGとGAとの間の詳細な関係を得るために、平成28年度の研究では、外因性GA3、GA阻害剤ダミノジド(DAM)、およびオーキシンファミリーナフタレン酢酸(NAA)の段階的濃度を葉の浸潤法により処理した。その結果,UGT85C2の各転写レベルおよびすべての処置による各総SG量は、対照よりも有意にアップレギュレートされることが明らかとなった。これらの結果は、GA生合成経路がSGの量に影響し、S.reaudianaにおけるSGの量を変化させるためにGAとオーキシンの間にホルモンクロストークが存在することを示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の当初計画では,ステビアに与える刺激として光質,光強度,植物ホルモンを設定しており,27年度までに光質と光強度に対する反応を調べ,最終年度の28年度に植物ホルモンに対する反応を定量的に調査しGA生合成経路がSGの量に影響し、S.reaudianaにおけるSGの量を変化させるためにGAとオーキシンの間にホルモンクロストークが存在することが示唆され,さまざまな外部刺激によるSG生合成量の制御メカニズムの一端が明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は平成28年度で終了するが,得られた知見を生産現場で利用する方法について検討したい。
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Causes of Carryover |
本研究では植物にストレスを与えて有用な物質を特異的に生合成させることで植物の高付加価値化を目指している。有用物質として,ステビアの甘味成分であるSteviol glyycosides (SGs)を対象としているが,SGsの定量に想定以上の時間を要したため,当初の計画年内に実験が終了できなくなったため,研究期間を一年延長した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度では,前年度で未処理となったSGsの定量的測定を継続して実施する。
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