2014 Fiscal Year Annual Research Report
野生マウスの遺伝子プールから発掘した雑種強勢QTLの最有力候補遺伝子の同定
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25292159
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
石川 明 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (20211724)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 育種 / QTL / マウス / 雑種強勢 |
Outline of Annual Research Achievements |
雑種強勢は、100年以上前から家畜の育種改良に使われている必須の遺伝現象であるが、その責任遺伝子は未だに同定されていない。申請者は、これまでに、マウスを家畜のモデルとして、体重について雑種強勢を示す超優性QTL(量的形質遺伝子座)を21Mbのゲノム領域に位置づけた。本研究では、体重とその関連形質に関与する雑種強勢QTLの候補遺伝子の同定を行うことを目指す。 今までに樹立したサブコンジェニック系統とそのレシピエント系統のC57BL/6Jと交配し、導入ゲノム領域に関して3つのディプロタイプが分離しているF2交雑群を生産した。得られたF2個体の体重を生後1、3、6、10と14週齢に測定した。14週齢で屠殺し、肝臓、白色脂肪組織重量等の臓器重量、体長、血中脂質成分量を計測した。その結果、3つのディプロタイプ間で統計学的に有意な差異があることが、12種類の体重とその関連形質において検出された。その内の1形質について雑種強勢が見られた。 昨年度に次世代シークエンサーによりmRNA-seq解析を行った結果、ディプロタイプ間で遺伝子発現量の差異が2倍以上または0.5倍以下異なる遺伝子を肝臓では9個、白色脂肪組織では11個発見した。これらの結果を確認するために、mRNA-seq解析に用いた同じF2集団を用いて、肝臓と白色脂肪組織から総RNAを抽出してRT-PCR法によりcDNA を合成し、リアルタイムqPCR解析を行った。およそ半数の遺伝子について解析を行った結果、肝臓および白色脂肪組織において、3つのディプロタイプ間で統計学的に有意な遺伝子発現量の差異がある遺伝子を幾つか確認することができた。また、バイオインフォマティク解析によりタンパク質高次構造に影響を与えると考えられる非同義置換SNPsをもつ遺伝子を幾つか検出できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の交付申請書に記載した研究実施計画のとおり、順調に研究を遂行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に引き続き、mRNA-seq解析結果により発現量の差異がみられたすべての遺伝子について、リアルタイムqPCR解析を完了する。F2分離集団において、リアルタイムqPCR解析で得られた遺伝子発現量、表現型値とディプロタイプ間で相関解析を行い、着目した量的形質に関与する遺伝子を絞り込む。随時結果をまとめて、学会発表等を行う。
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Causes of Carryover |
今年度の消耗品の残金。その残金は9,130円と非常に少額であるとともに、本研究課題は次年度に継続する。したがって、無理にその少額な残金を本年度中に使用する必要性が無いために次年度に繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の消耗品に充てる。
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