2013 Fiscal Year Annual Research Report
代謝プログラミングによるウシ産肉制御システム構築:胎児期と新生時期の代謝制御機構
Project/Area Number |
25292162
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
後藤 貴文 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (70294907)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 代謝プログラミング / ウシ / 栄養・飼料 |
Research Abstract |
近年、胎児期から生後の初期成長期の各臓器の形成・成熟の感受性の高い、いわゆる可塑性の高い時期の栄養環境により、その後の動物体の代謝システム、特に肝臓、骨格筋および脂肪組織の代謝に多大な影響を及ぼすことが報告されている。エピジェネティクス研究と関連して代謝プログラミングとも呼ばれる。このメカニズムを家畜の飼養技術としてポジティブに取り入れ、すなわち、胎児期あるいは初期成長期の栄養制御により、 ウシのフルライフにわたる基盤的な代謝レベルをプログラミングし、最終的な産肉性、特に肉質と肉量を制御し、効率的、省力的かつ種々の環境に適合できる次世代型の革新的家畜飼養システムを開発したい。本研究では、特に妊娠牛(胎児期)から栄養環境を変化させ、新生子牛の出生後に、肝臓、骨格筋および脂肪組織の代謝を網羅的に調査し、ウシの代謝プログラミング機構の解明のための基盤的実験を行う。平成25年度は,本研究を遂行していくにあたり,入念な計画のための準備を行った。和牛の初期成長期の栄養制御によるこれまでの経時的に採取した筋サンプルの解析による分子生物学的,生理的および形態的データを整理して,ターゲットとする因子候補をあげて解析法のチェックを行った。また,大学牧場の運営の中での実験牛の繁殖計画を調整した。さらに繁殖牛妊娠期の栄養制御に関わる準備や栄養制御の方法を検討するとともに,妊娠牛の作出,またサンプリングの方法の検討を行った。クローン胚の使用も視野に入れているが,まずは同一受精卵をもちいての実験を計画している。実験牛は現在妊娠後期にさしかかっており,今年度本格的に栄養制御を行い,繁殖牛の血液等のサンプリングと子牛のバイオプシーによる骨格筋,肝臓および血液サンプリングとそのサンプルの解析を鋭意行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度は,本研究を遂行していくにあたり,10カ月間のウシ妊娠期間の栄養を操作しなければならず,物理的,経営的に詳細な計画が必要であった。その準備を行った。この件に関しては家畜改良センターにも協力を相談しているところである。ウシの初期成長期の栄養制御によるこれまでの経時的に採取した筋サンプルの解析による分子生物学的,生理的および形態的データを整理して,妊娠期の栄養を含んだ場合のターゲットとする候補因子をあげて解析法のチェックを行った。また,繁殖牛妊娠期の栄養制御に関わる準備や栄養制御の方法を検討するとともに,妊娠牛の作出,またサンプリングの方法の検討を行った。クローン胚の使用も視野に入れているが,まずは同一受精卵をもちいての実験を計画している。実験牛は現在妊娠後期にさしかかっており,今年度本格的に栄養制御を行い,繁殖牛の血液等のサンプリングと子牛のバイオプシーによる骨格筋,肝臓および血液サンプリングとそのサンプルの解析を鋭意行っていく。大学の実習場の運営のなかで,繁殖牛の個体差もあり,実験に最適な繁殖牛の選抜も難しく,少数での効率的な研究を目指して,クローン胚の使用も視野に入れている。まずは同一受精卵をもちいての実験を計画した。昨年度妊娠させた実験牛は現在妊娠後期にさしかかっており,今年度本格的に栄養制御を行い,繁殖牛の血液等のサンプリングと子牛のバイオプシーによる骨格筋,肝臓および血液サンプリングとそのサンプルの解析を鋭意行って成果を出していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度,妊娠後期(受胎後7~10カ月)の栄養環境を1)高栄養(H区)、2)低栄養(L区:40%低減)に分けた繁殖雌牛の血液サンプルを妊娠後7,8,9および出産直前で採取し栄養状態のモニタリングを行う。出産後は両区とも高栄養にて飼養する。新生子牛群の2処理区に関して、まずは本年度、先にHE区を行い、生後は高栄養区とし、哺乳期は強化哺育(ロボット使用、高タンパク、高脂肪ミルクをmax1800g/日)および育成期は高栄養処理を行う。次の実験群で通常哺乳(max 600g/日)と乾草を主とした粗飼料のみで飼養する粗飼料区とする予定である。その後の肥育期に関しては、輸入濃厚飼料を用いるのではなく、本研究課題の代謝プログラミング効果を把握するために粗飼料とする。これは次世代の国産植物資源による肥育を目指す意味をも包含している。すべての実験牛は、筋および肝臓バイオプシーにより、サンプルを採取し、分子生物学、形態学的解析に用いる。同時に血液サンプルも頚静脈より採取し成長因子等の生理学的な解析に用いる。一方、放牧肥育するための牧草地の準備を行う;イネ科とマメ科との混播牧草地を想定している。来年度可能であれば,肥育終了まで実験を遂行する(仕上げ体重600kg以上を設定)。筋および肝臓サンプルに関して,マイクロアレイ解析およびメチル化チップ解析も行いたい(プールサンプルで解析想定)。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の研究遂行において,昨年度末から平成26年度にまたがり遂行する実験に関する分子生物学的解析の試薬等を購入する予定であったが,残高が少額であったので,それらを購入できなかった。そのために41,507円の残高となった。 平成26年度の分子生物学的解析等の研究遂行に向けて,速やかに試薬等の購入に使用する。
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Research Products
(7 results)
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[Presentation] A. Nomura, R. Fujimura, S. Khounsakunalath, K. Saito, K. Sakuma, T. Abe, S. Kaneda, T. Etoh, Y. Shiotsuka, H. Takahashi, and T. Gotoh.2013
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[Presentation] Metabolic Imprinting Effect in Beef Production: Influence of Nutrition Manipulation during an Early Growth Stage on PPARγ2 and PMRT5 Expressions in the Longissimus Muscle in Wagyu (Japanese Black)2013
Author(s)
S Khounsaknalath, R Fujimura, K Etoh , K Saito, K Sakuma, K Kaneda, T Abe, T Etoh, Y Shiotsuka, H Hasebe, H Hasebe, S Maak, A Elke, H Takahashi, A. Saito, T Gotoh
Organizer
The 8th Developmental Origins of Health and Disease (DOHaD)
Place of Presentation
Singapore.
Year and Date
20131117-20131120
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[Presentation] Metabolic imprinting effect during Early Growth on Extra Cellular Matrix Construction in Wagyu (Japanese Black Steers).2013
Author(s)
A. Nomura, R. Fujimura, A. Saito, S. Khounsakunalath, K. Saito, K. Sakuma, T. Abe, H. Hasebe, S. Kaneda, T. Etoh, Y. Shiotsuka, S. Maak, E. Albrecht, H. Takahashi, and T. Gotoh.
Organizer
2013 ADSA-ASAS Joint Annual Meeting
Place of Presentation
Indianapolis, Indiana, USA.
Year and Date
20130708-20130712
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[Presentation] Metabolic Imprinting Effect in Beef Production: Influence of Nutrition Manipulation during an Early Growth Stage on Adipogenesis in the Longissimus Muscle in Wagyu (Japanese Black)2013
Author(s)
Fujimura, R, K. Etoh, S. Khounsaknalath, K. Saito, K. Metoki, S. Kaneda, T. Abe, T. Etoh, Y. Shiotsuka , H.Suzuki, H. Hasebe, F. Ebara, S. Maak, E. Albrecht, A .Saito and T. Gotoh
Organizer
2013 ADSA-ASAS Joint Annual Meeting
Place of Presentation
Indianapolis, Indiana, USA.
Year and Date
20130708-20130712