2016 Fiscal Year Annual Research Report
インターロイキン-19のⅣ型アレルギー炎症発症メカニズムにおける新規調節機能
Project/Area Number |
25292174
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
東 泰孝 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (50298816)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | IL-19 / T細胞 / 炎症 / CHS |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、前年度の得られた成果についてさらに解析を進めた。接触型皮膚炎の起こる機序として、1型ヘルパーT細胞(Th1)と2型ヘルパーT細胞(Th2)とが関与する型に大きく2つ考えられる。これまでの3年間の成果においてインターロイキンー19(IL-19)はTh1が関わる炎症応答の制御に関与する可能性を明らかにしてきた。そこで、Th2が関与する機序のモデルを用いてIL-19の関与の可能性ならびにIL-19の免疫学的役割の全容解明へとつなげることを目的とした。そのため、FITC誘発性接触型過敏症モデルを用いて、平成26年度ならびに平成27年度と同様の解析を実施し、野生型マウスとIL-19遺伝子欠損マウスを用いて比較検討を行った。その結果、再感作24時間後の耳介腫脹を測定したところ、野生型マウスと比べてIL-19遺伝子欠損マウスは同程度の腫脹を示し、両者間に有意な相違は認められなかった。さらに、再感作48時間後の評価においても明確な相違を見出すことはできなかった。したがって、Th2介在性接触型皮膚炎モデルにおいてはIL-19遺伝子欠損は著明な変化を与えないと結論づけた。以上の結果より、IL-19は接触型皮膚炎において発症機序により異なる関与の可能性を示すことを発見した。具体的にはTh1が関与する機序においてIL-19は重要な免疫学的役割を示すものと推察される。今後は、Th1介在性応答において重要な役割を演じるIL-17産生T細胞(Th17)におけるIL-19の関与をさらに追及する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
異なるT細胞の種類による接触型皮膚炎モデルを用いたことにより、IL-19の免疫学的役割をさらに明らかにすることができた。主要な結果は野生型マウスとの間に相違は見いだせなかったものの、逆に、IL-19の関与がTh1によりコミットしており、Th2への関与の程度は低いことを明らかにすることができた。したがって、Th1が介在する応答により注力することで、IL-19の免疫学的役割の全容解明に繋がることが期待される。
|
Strategy for Future Research Activity |
Th1が介在する炎症機序として、今一つIL-17産生T細胞の関与の可能性が挙げられる。これまではTh1サイトカインであるIFNgammaに着目して研究を展開してきたが、今回Th2には関与しないことを明らかにできたことから、今後はIL-17とIL-19の関連性について解析を進める予定である。
|
Causes of Carryover |
今年度の助成総額3,169,706円に対して実支出総額は2,663,157円であった。次年度使用額が506,549円生じた理由としては、今年度の成果により、インターロイキンー17産生T細胞とIL-19の関与の可能性を検討する必要が生じたため、次年度に必要な予算を確保した次第である。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度生じた506,549円の次年度使用額を有効活用し研究推進に役立てたい。
|