2015 Fiscal Year Annual Research Report
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25292193
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
堀内 浩幸 広島大学, 生物圏科学研究科, 教授 (80243608)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 鳥類 / ゲノム編集 / 性決定 / 多能性幹細胞 / 始原生殖細胞 / HEMGEN / ノックアウト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,鳥類におけるゲノム編集技術を確立することを目的に,鳥類の雄化に関わるHEMGEN遺伝子を標的にTALENとCRISPR/Cas9を用いて,ニワトリ多能性幹細胞や生殖系列細胞からHEMGENノックアウトニワトリを作出し,その表現型により本技術導入の可否を判断するものである。本研究を行なうことで,鳥類におけるゲノム編集技術を確立するとともに,鳥類における雄化の性決定機構を解明するためのモデルニワトリを提供可能とする。平成27年度は,平成26年度に新たに導入したCRISPR/Cas9システムを用いて多能性幹細胞への変異導入を行い,最終的にHEMGEN遺伝子の5’ 側で終止コドンを生じるノックアウト変異株2種のクローニングに成功した。2種のHEMGENノックアウト多能性幹細胞株は,レシピエント初期胚の胚盤葉へ移植することで3羽のHEMGENノックアウトキメラニワトリを作出した。また本研究では,新たにニワトリの始原生殖細胞(PGC)の培養技術を確立し,培養PGCにTALENを用いてゲノム編集を行なった。TALENによるゲノム編集では,ベクター内のハイグロマイシン耐性遺伝子により,培養PGCの一過的な薬剤選抜を行なった。その結果,培養PGCにおいては,変異導入効率約27%,ノックアウト変異導入効率約17%であることがわかった。ニワトリPGCは,多能性幹細胞よりも確実に生殖系列伝達が可能であり,本系の成功は鳥類におけるゲノム編集技術の進展に寄与できると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は,研究計画調書並びに交付申請書に記載した研究計画通り,ノックアウト多能性幹細胞から3羽のHEMGENノックアウトキメラニワトリの作出に成功した。また新たに始原生殖細胞を用いたゲノム編集技術の導入にも成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度以降は,ノックアウト多能性幹細胞からのHEMGENノックアウトキメラニワトリの拡充を計りつつ,交配試験によりHEMGENノックアウトニワトリの作出とその表現型等の解析を行なう。またHEMGENノックアウトPGC株のクローニングを行い,移植実験から生殖細胞キメラニワトリを作出する。
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Causes of Carryover |
購入予定であった消耗品(試薬)が購入予定の価格よりもキャンペーン価格で安価に購入できたため使用残が生じてしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
使用残は,次年度の消耗品費に充て,適切に使用する。
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