2014 Fiscal Year Annual Research Report
持続的な都市の形成に向けた新たな農の概念とその計画
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25292212
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
横張 真 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60302379)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺田 徹 東京大学, 新領域創成科学研究科, 助教 (00619934)
渡辺 貴史 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(環境), 教授 (50435468)
雨宮 護 筑波大学, システム情報工学研究科(系), 准教授 (60601383)
田邉 万理子(宮本万理子) 神戸芸術工科大学, デザイン学部, 助教 (60633790)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 緑地計画 / 参加型まちづくり |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究実績は以下の3点である。
1)昨年度に実施したマイファーム利用者に対するアンケート調査の分析を進めた。具体的には、マイファーム利用者の特徴を明瞭にするために、一般的な市民農園において活動する都市住民2,600名を対象としたウェブアンケートを実施し、両者を比較した。その結果、マイファーム利用者は、市民農園利用者と比べて、農に対して明るいイメージを持つ、労働観に関しても独立志向が高い等、異なった傾向をもつ可能性が明らかとなった。次年度は、さらに分析を深め、両者の違いを構造的に明らかにする。 2)有機性廃棄物利用システムを内包した「都市の農」の事例として、東京都日野市S農園を取り上げ、有機性廃棄物の利用における利用者の寄与等について分析を行った。その結果、円滑な運営に向けて、利用者の属性や農園への関与の強さに応じて的確な作業分担が行われていた。これらの知見からは、「都市の農」の特徴の一つである多様な都市住民の関与を実現させる、多数小労働(労働機会が限られた多くの人の関与)により成立する運営スキームの展開可能性が示唆された。 3)「都市の農」が着目される背景のひとつである農のあるライフスタイルへの希求について分析した。具体的には、日本人の近年の就労観の変化に伴い、「半農半X」のような新たなライフスタイルへの希求が発生していることを、関連著書・論文の分析により整理した。それらを学術的に論じるためには、鬼頭秀一の「遊び仕事」等の概念を現代的に解釈、発展させる重要性を指摘した。また、農のあるライフスタイルが都市近郊地域に定着する可能性を、先行研究の整理により検討した。その結果、先のライフスタイルを都市近郊地域に定着させるためには、「空間・主体・制度」の3つの観点からの研究の深化と統合が必要なことを指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の検討の中心項目は「都市の農」に関する運営スキームの解明とその展開先に関する検討であった。東京都日野市S農園の分析により、「都市の農」の特徴のひとつとも言える多数少労働の運営スキームが明らかにされたほか、マイファームの利用者分析等を通じて、主要な展開先である都市近郊地域の特性も明瞭になってきているため、研究はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度はこれまで一貫して行ってきたマイファームの調査を完了させ、その他の先進事例の成果も統合することにより、「都市の農」の運営スキームの一般化と、その展開先の空間特性の解明を行う。さらには、制度面での隘路や改定の方向性を検討し、施策の検討につながる実践的な解を得ることを目標とする。
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Causes of Carryover |
今年度は、東京都日野市S農園のように国内の先進事例分析が多くなり、海外事例の調査用に確保した予算を余らせることとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年次は、成果取りまとめに向けた研究会の開催や国際会議における研究成果発表のために旅費を使用するほか、アンケートの分析や最終的なデータ整理のために人件費を使用することを計画している。今年度の未執行分は、これら成果の取りまとめをより充実したものにする活動に充てることで、消化していく。
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Research Products
(4 results)