2014 Fiscal Year Annual Research Report
新規合成法を駆使した多環性生理活性化合物の合成と医薬品開発への応用
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25293001
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
西田 篤司 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (80130029)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | コプシアアルカロイド / ランドリンB / 不斉全合成 / ビニルインドール / Diels-Alder反応 / 希土類触媒 / ミノビンシン / ストリキニーネ |
Outline of Annual Research Achievements |
[1]抗悪性黒色腫作用を有するコプシアアルカロイド、ランドリン類の合成研究では昨年度すでにラセミ体合成を達成していた。本年度は最も活性の強いランドリン Bの不斉全合成を検討した。対称構造を有するスピロシクロへキサノン中間体をキラルリチウムアミドを用いる非対称エノラートに変換しシリルエーテル化、三枝-伊藤反応を経てキラルスピロシクロへキセノン中間体を光学活性体として得ることに成功した。引き続きラセミ体合成経路と同様に変換し光学活性ランドリン Bの世界初合成を達成し、その絶対構造を明らかにした。 [2]3-シロキシビニルインドールをジエンとするDiels-Alder(DA)反応を用いるヒドロカルバゾール系天然物合成法として1)ジアステレオ選択的手法及び2)エナンチオ選択的手法を開発した。光学活性ピログルタミン酸から得られるキラルα,β-不飽和-γ-ラクタムをジエノフィルとするDA反応はSc(OTf)3を触媒としてexo選択的に進行し付加体を高収率、高ジアステレオ選択的に進行した。本反応を鍵段階とするストリキニーネの不斉全合成を検討している。アクリルアミド誘導体とのエナンチオ選択的なDA反応はHo塩とキラルチオウレアリガンドからなる錯体を触媒として高選択的に進行した。本反応を用いてアルカロイド、ミノビンシンの不斉全合成を達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成26年度はランドリンBの世界初の不斉全合成を達成し現在、共同研究にてランドリンBを母核とする新たな抗悪性黒色腫治療薬の開発研究をスタートするに至った。また、共通中間体を用いて同様な生合成経路により生産されている他のコプシアアルカロイドの全合成にも着手し、すでにグランジロジン類の合成経路をほぼ開発している。これらの化合物は絶対配置も決定されておらず、生物活性調査もこれまで不十分であったことから、化学的手法による供給が望まれている分子群である。 また、通常不安定であるシロキシブタジエン類を用いる不斉Diels-Alder反応は有用な多置換6員環誘導体を得る手法として有用であるが、不斉化は困難であった。我々は独自に開発したキラルリガンドと希土類塩の組み合わせにより調製されるキラル錯体を用いて不斉化に成功し、キラル6員環化合物の高選択的合成に成功し天然物合成に応用してきた。今年度は本手法を拡大しキラルヒドロカルバゾール系化合物の合成手法を確立し天然アルカロイド合成に応用できた。以上の成果は、実施計画を上回る成果であると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
1)ランドリン詳細な生物活性試験及び生物活性発現機構の解明を行い、さらにより高活性誘導体の合成を検討する。 2)ランドリン類似骨格を有するコプシアアルカロイドの不斉全合成を行い、全体配置の解明及び詳細な生物活性試験研究に供する。 3)我々が開発したキラル希土類錯体の構造決定を行い、選択性発現機構の解明を行う。まず、希土類錯体の結晶化を検討しX線結晶解析に適した単結晶の作成を行う。 4)キラル希土類錯体の不斉反応への応用を検討する。
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