2014 Fiscal Year Annual Research Report
2つの電子求引基で活性化されたアルケンの不斉触媒反応と効率的不斉全合成への活用
Project/Area Number |
25293003
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
中田 雅久 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (50198131)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 不斉触媒反応 / 付加環化 / Michael反応 / 生物活性天然物 / 不斉全合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
環状α-アルキリデン-β-ケトイミドの触媒的不斉向山‐Michael反応を検討し、6員環イミドの反応では、酢酸チオールエステルのシリルエノールエーテルを用いた場合、90% eeを超える生成物を高収率で得た。5員環イミドの反応では、エナンチオ選択性は6員環イミドの場合より若干低かったが、不斉配位子のさらなる検討により、生成物のee向上が期待できる。 環状α-アルキリデン-β-ケトイミドのイナミドとの[2+2]付加環化においては、イナミドの末端が水素とメチル基の場合に高収率で反応が進行し、90% eeを超える生成物を得た。単純なビスオキサゾリン配位子を用いた場合はα-アルキリデン-β-ケトイミドがオキサジエンとして反応する[4+2]付加環化も一部進行したが、石原らにより報告された配位子を用いると[2+2]付加環化のみが進行した。生成物のイミド部分は、反応条件を選択することにより、アミド、ニトリル、エステルへの変換が可能であり、除去も可能であることを見出した。 環状α-アルキリデン-β-ケトイミドと各種複素環化合物とのフリーデルクラフツ反応においては、複素環化合物の構造に依存するものの、概ね高エナンチオ選択的に反応が進行することを見出した。特にインドールとの反応では90% eeを超える生成物を高収率で得た。 なお、生成物の絶対配置はX線結晶構造解析および既知化合物への誘導により行い、予想している遷移状態を経由して反応が進行したことを確認した。 α-アルキリデン-β-ケトエステルの高い反応性を活用した[4+2]付加環化を経由する、抗腫瘍性クレロダン型ジテルペンであるbucidarasin類の初の全合成に成功した。この全合成によりbucidarasin類の絶対配置も決定した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2014年度初頭に立案した研究計画は順調に進展しており、2014年度の研究目的は概ね達成されている。国際的ジャーナル誌に研究成果を報告し、今後も投稿予定である。学会での発表も行っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2014年度初頭に立案した研究計画に沿って研究計画を遂行する。当初の予定通り、開発している手法をさらに進展させるとともに、開発した手法を用いる生物活性天然物の効率的不斉全合成の研究を重点的に行い、開発した手法の合理性を検証する予定である。
|