2014 Fiscal Year Annual Research Report
新規脂質メディエーター、リゾホスファチジルセリンの免疫抑制機構の解明と創薬研究
Project/Area Number |
25293010
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
青木 淳賢 東北大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (20250219)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | リゾホスファチジルセリン / 自己免疫疾患 / 免疫抑制 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者はこれまで、リゾリン脂質の一種リゾホスファチジルセリン(以下LysoPS)が個体レベルで顕著な免疫抑制作用を発揮すること、細胞レベルで制御性T細胞の分化促進、抗体産生B細胞の増殖抑制を引き起こすことを明らかにした。また、活性化リンパ球に高発現しLysoPS特異的に反応する2種の新規GPCR(P2Y10, GPR174)を同定した。本研究では、LysoPS関連分子(P2Y10, GPR174, LysoPS産生酵素PS-PLA1)の遺伝子改変動物を利用し、新規リゾリン脂質性メディエーターLysoPSの免疫抑制作用の分子機構の全容を明らかにするとともに、LysoPS関連分子を標的とした創薬研究を行う。 今年度は、LysoPS産生酵素と想定されている、PS特異的ホスホリパーゼA1 (PS-PLA1) の発現が高いことがわかったMRL-lpr/lpr系統のマウスと、LysoPS受容体P2Y10 KOマウスを掛け合わせ、表現型解析を行った。MRL-lpr/lprマウスは自然発症的にアポトーシス誘導受容体であるFasを欠損しており、自己因子反応性のT細胞、B細胞が排除されておらず、自己応答性のリンパ球が週令に従って増加する。P2Y10 KOバックグランドのMRL-lpr/lprマウスはコントロールのMRL-lpr/lprマウスと比較して劇的に、脾臓、リンパ節が大きく、また、血中リンパ球も顕著に増加していた。通常のP2Y10 KOマウスではこのような劇的な変化はなかったが、高週令の個体では、P2Y10 KOマウスは血中リンパ球数が増加している傾向があった。このことから、P2Y10を介するLysoPSシグナルは特定の免疫応答に関して抑制的に働くことが初めて明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
LysoPSの受容体を介するLysoPSの新規機能を明らかにすることができた。これは、LysoPSの受容体を介する初めての機能である。
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Strategy for Future Research Activity |
MRL-lpr/lprバックグランド以外では、LysoPS受容体のシングルのノックアウトマウスの表現型は弱い。P2Y10はGPR174と重複する機能を有する可能性があるため、これら受容体のダブルノックスとマウスの解析が必要である。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Lysophosphatidylserine analogs differentially activate three LysoPS receptors2015
Author(s)
Uwamizu A, Inoue A, Suzuki K, Okudaira M, Shuto A, Shinjo Y, Ishiguro J, Makide K, Ikubo M, Nakamura S, Jung S, Sayama M, Otani Y, Ohwada T and Aoki J.
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Journal Title
J. Biochem.
Volume: 157
Pages: 151-160
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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