2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25293048
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
松下 正之 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30273965)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片桐 千秋 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00443664)
近藤 英作 愛知県がんセンター(研究所), その他部局等, 研究員 (30252951)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ペプチド / PTD / 脳腫瘍 / 細胞内シグナル / DDS |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究により、癌選択的侵入ペプチドの創出と診断・治療法開発への応用に、我々のペプチドライブラリーを用いた手法が有効であることを示せた。今後は、臨床応用を視野に入れ難治性腫瘍を対象とし、人工ペプチドを用いた以下の革新的な診断・治療法の開発を計画した。効果的な治療法のない脳腫瘍(グリオブラストーマ)の細胞株(U87)を標的としたペプチドスクリーニングを行い、グリオブラストーマ由来の細胞系列に選択的に侵入するペプチドを発見した。このペプチドは10アミン酸からなるが、両端からアミノ酸を欠損させ、腫瘍選択性を維持する7アミノ酸からなる最小機能ペプチド配列(CTWLKYH)を決定した。この短鎖のペプチドは、臨床応用における、臓器障害性や抗原性などの副作用がないことをマウスへのペプチド長期投与実験で確認している。この短鎖ペプチドはグリオブラストーマ細胞株だけでなく、グリオブラストーマ患者(GBM)から樹立した初代培養の腫瘍細胞にも選択的に侵入することも明らかにし、特許出願準備中である。さらに、脳腫瘍モデルマウスへのペプチドの静脈投与により腫瘍特異的にシグナルを検出し生体での利用も可能である。我々の開発した脳腫瘍選択的ペプチドを用いたPETプローブや抗がん剤とペプチドの結合による標的治療への展開を計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
グリオブラストーマ細胞選択的ペプチドの治療応用を確立する研究計画であった。 1)神経変性疾患:神経細胞に効率に侵入可能なペプチドを創出した。 2)脳腫瘍:臨床応用を見据えて難治性のグリオブラストーマ選択的侵入ペプチドによるモデル マウスを用いた診断・治療技術の開発を行い、論文発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
膜透過型ペプチドを診断や治療用のプローブとして用いる大きな利点は、生体内での分解・代謝が良好で、低抗原性・低毒性であり「からだにやさしい」ナノバイオツールである。この利点を生かしたペプチドによる “細胞選択的ペプチド”の開発は、人工ペプチドを応用した医療技術として既存ドラッグデリバリーシステムの抱える難問の解決に大きな前進をもたらす独創性の高いアプローチであり、我が国の多岐にわたる医療・医学研究分野に大きなインパクトを与えると期待できる。特に、上記細胞選択的侵入ペプチドを応用したタンパク分子や機能性ペプチドの難治性の腫瘍であるグリオブラストーマ細胞への選択的送達システムの構築にまで展開されれば、ペプチドプローブに診断用の蛍光標識を用いた蛍光ガイド下手術システムやPET用核種のペプチドへの結合による診断技術開発、さらに副作用の少ない多重的分子標的技術の確立が可能となり、治療法のない悪性脳腫瘍の新たな疾患治療戦略にも成り得る。
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Causes of Carryover |
新規創出人工ペプチドの変異体のデザインが年度中に決まらなかったために、合成ができなかっった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
変異体の合成ペプチドデザインを決め、合成を行う。
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Research Products
(1 results)