2015 Fiscal Year Annual Research Report
高速AFMを用いた1分子動態観察によるABCトランスポータの動作機構の解明
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25293049
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
相馬 義郎 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (60268183)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ABCトランスポーター / ATP加水分解 / NBDドメイン / 膜輸送 / 分子間相互作用 / 抗原抗体反応 / 原子間力顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに、野生型(WT)-CFTRの高速AFMによる1分子動態観察を行い、特異的抗体を用いた Regulatory(R)-domainおよびC末端の位置の特定にも成功した。さらに脂質2重膜に組み込んで、CFTR分子の細胞内側にあるATP依存性ゲーティングの駆動機関 Nucleotide Binding Domain(NBD)およびR-domain複合体のゆらきの直接観察に成功した。しかしながら、R-domainのPKA依存性リン酸化によるCFTR活性化および、活性化後に起こるATP依存性ゲーティングを駆動するNBDの構造変化の直接観察には成功しなかった。 本年度は、PKA依存性リン酸化をスキップしてNBDの構造変化を直接観察する目的で、R-domainにある8つあるPKAリン酸化サイトのうちの4つのサイトのリン酸化を受けるセリン(S)をアスパラギン酸(D)やアラニン(A)に変化させて、それらのPKA投与前のチャネル活性に与える影響を調べた。その結果、PKA依存性リン酸化をスキップすることができる可能性のある変異体の候補を得ることができた。 また、本研究の医学分野へのより直接的な展開を意識して、日本人に見られる病因性CFTR変異体を作成し、機能解析を行った。特に頻度の高くCFTRがもつ12個の膜貫通部位のうち3個も欠損するG970-T1122del変異体の1分子動態観察は興味深くかつ医学的に重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)WT-CFTR1分子の高速AFM観察に成功し、今まで未知であったR-domainの位置の特定およびCFTR分子の細胞内側ドメインである NBD/R-domain複合体のゆらきの直接観察に成功した。 2)CFTRのATP加水分解駆動機構の解明に役立つPKA依存性リン酸化不要活性型変異体の候補を得ることができた。 3)日本人に見られる病因性CFTR変異体を作成し機能解析を行った。特に、頻度が高く医学的に重要なG970-T1122del変異体の1分子動態観察に基づいた病態構造-機能連関研究への準備を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1)WT-CFTRの1分子動態観察および関連実験結果の論文発表 2)PKAリン酸化不要活性型変異体を改良して、ATP依存性NBDコンフォメーション変化の直接観察に挑戦する。 3)日本人CFTR変異体、特に頻度が高い医学的に重要な massive deletion 変異体であるG970-T1122del-CFTRの大量発現・精製法を確立して、1分子動態観察に挑戦する。
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Causes of Carryover |
前年度に雇用する予定であったポスドクに適した人材が見つからず、今年度4月からポスドク1名を特任助教として雇用することとなった。当該研究をさらに発展させるため研究期間を1年間延長したが、人件費が当初の計画より少額となったために次年度使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、現在雇用中の特任助教の雇用を継続し、その人件費に充てる計画である。
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Research Products
(9 results)