2013 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪とインスリンシグナルのクロストーク -脂肪食感受性糖尿病マウスを用いた解析-
Project/Area Number |
25293051
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
三木 隆司 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50302568)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向 英里 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60362539)
李 恩瑛 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60583424)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 栄養学 / 糖尿病 / 脂質 / 糖 / インスリン |
Research Abstract |
我々はインスリン抵抗性を有するが耐糖能は正常であるmIRマウスに高脂肪食を負荷すると著明な糖尿病が誘導されることを見いだした。これまでの解析の結果から、脂肪組織における脂肪分解の亢進と肝臓における糖新生の亢進が明らかになっていた。本研究ではmIRマウスを用いて高脂肪食負荷がどのように脂肪代謝と糖代謝の破綻をもたらすかを解明することを目指している。平成25年度は、脂肪組織における脂肪分解と肝臓における糖新生を解析し、脂肪分解により発生するグリセロールが高血糖誘発の原因であることを直接的に証明することができた。一方、高脂肪食負荷mIRマウスでは脂肪分解により産生される脂肪酸は高血糖発現には直接的な寄与はなかった。そこで、グリセロールを取り込む肝臓の代謝変化に焦点を当てて解析したところ、解糖系経路の基質の量的な変化が、G6Pase等の酵素の転写制を介して糖代謝のフローを調節していることが明らかになった。一方、脂肪組織の脂肪分解はインスリンにより抑制されるが、通常餌飼育下のmIRマウスではPPARγの発現低下によるホルモン感受性リパーゼとアドレナリン受容体の減少がインスリン抵抗性による脂肪分解亢進が阻止されていた。ところが、高脂肪食負荷mIRマウスではPPARγを介した代償性維持機構が破たんし、過剰なホルモン感受性リパーゼ活性化による脂肪分解が生じ、肝臓でのグリセロールからの糖新生が亢進し、糖尿病が発症することが示された。さらに、肝臓への グリセロールの流入が増加すると、cell autonomousにG6Paseの転写が誘導され糖新生が亢進することが明らかになった。現在転写レポーターアッセイなどの手法を用いてその分子メカニズムを解明中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、本研究の目標である高脂肪食による糖代謝の破綻メカニズムについて解析を進め、糖代謝と脂質代謝のかけ橋となる代謝産物であるグリセロールの代謝動態を、脂肪組織と肝臓の両者で解明した。研究の一つの区切りのデータが得られたため、現時点までの結果に基づき論文を投稿中である。本研究で提案している新たな実験も並行して進んでおり、研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の解析結果から、肝臓におけるグリセロール代謝が食後の血糖を規定する重要な因子であり、その分子制御メカニズムの解明が重要であることが明らかになった。特に、遺伝子転写制御機構の解明が不可欠であることから、この分野で優れた実績を有する学内外の遺伝子制御研究者との共同研究を開始することになった。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
基盤Bの研究費が一部基金化されたことから、助成金を弾力的に使うことが可能になり、我々は大変有り難く感じております。本研究は幸いほぼ計画通りに進んでおりますが、一部の解析は、測定条件が確定した時点でまとめて行おうと考えております。 例えば、本研究を最終的に論文化する際には、血液試料を用いた多項目の測定が必要になりますが、全体の研究の結論との整合性を取るためには、証拠となる解析データと同じ時点の血液で測定することが必要になります。以前であれば、全体の結論が出る前にその都度測定を行っておりましたが、今回は研究の論旨が確定された時点で測定することが可能です。こういったことから、今回は、研究期間内で使用可能な研究費は初年度にはできるだけ使用しないよう努めておりました。研究の進展に伴い、2年目以降は多くの直接経費が必要となりますので、今回の次年度使用分から拠出することになると考えております。 一般試薬やホルモン測定用ELISAなどの購入に充てることを計画しています。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Refeeding with a standard diet after a 48-h fast elicits an inflammatory response in the mouse liver.2013
Author(s)
Oarada, M., Miki, T., Kohno, S., Sakai, K., Nikawa, T., Yoneyama, M., Gonoi, T.
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Journal Title
J Nutr Biochem
Volume: 24
Pages: 1314-1323
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Cephalic phase insulin secretion is KATP channel-independent.2013
Author(s)
Seino, Y., Miki, M., Fujimoto, W., Lee, EY., Takahashi, Y., Minami, K., Oiso, Y., Seino, S.
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Journal Title
J Endocrinol
Volume: 218
Pages: 25-33
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] A case of Type 1 diabetes with nocturnal hypoglycemia after desensitization therapy for insulin allergy.2013
Author(s)
Kitamoto, T., Sakurai, K., Tachibana K., Yokoh H., Ishikawa, K., Miki, T., Yokote K.
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Journal Title
Diabetes Care
Volume: 36
Pages: 89-89
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Unsuppressed Lipolysis in Adipose Tissue by Insulin Is Critical for Glucose Homeostasis under High Fat Diet
Author(s)
Lee, E-Y., Sakurai, K., Toda,C., Minokoshi, Y., Miki, T
Organizer
49th EASD Annual Meeting
Place of Presentation
Barcelona, Spain
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