2014 Fiscal Year Annual Research Report
腸内細菌による宿主行動変化の全容とそのメカニズムの解明
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25293054
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
須藤 信行 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60304812)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉原 一文 九州大学, 大学病院, 助教 (20444854)
古賀 泰裕 東海大学, 医学部, 教授 (60170221)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 環境生理学 / 腸内細菌 / 行動 / 不安 |
Outline of Annual Research Achievements |
腸内細菌が宿主の行動特性に与える影響について無菌マウス(GF), SPFマウスの糞便を移入した無菌マウス(EX-GF), Bifidobacterium infantis(Bi), Blautia coccoides(Bc)単一細菌マウスにおける運動能、不安関連行動を比較、検討し、次のような結果を得た:GF群はEX-GF群と比較し、いずれの週齢においても有意に自発運動能が高かった。Bi群では、EX-GF群と同程度に運動能が減弱していたが、Bc群では減弱効果は認めず、GF群と同程度に多動であった。また不安関連行動に関しては、GF群はEX-GF群と比較し、いずれの週齢においても不安レベルが高かった。以上の結果は、腸内細菌叢は宿主の行動特性を変化させることを示している。平成26年度は、人工菌叢マウス間における行動特性の脳内機序を解明すべくマイクロアレイ、メタボローム解析を開始した。具体的には、GF,EX-GF,Bi, Bcマウスにおける大脳皮質、海馬での遺伝子発現の変化を7週齢、16週齢で比較、検討する。有意な変動が認められた遺伝子に関しては、Real-time PCRで確認する。また人工菌叢マウスの血漿、脳(皮質、海馬)を用いてメタボローム解析を行う。血漿を対象としたメタボローム解析はまず、全てのサンプルをガスクロマトグラフィー‐質量分析計(GC-MS)にて水溶性低分子代謝物と脂肪酸について解析する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、腸内細菌と行動特性との関連について再現性の高い正確なデータを蓄積している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は本研究の最終年度であり、これまでの研究結果を総括し、その成果を積極的に論文として発信していく。実験内容については昨年度に引き続き、下記の実験1と2を推進するとともに、解析手法が確立した攻撃行動(実験3)について解析していく。 実験1.腸内フローラ定着による脳内遺伝子発現の経時的変化:各マウス間で認められる行動特性が如何なる脳内基盤に基づいて生じているかを明らかにするために、GF,EX-GF,Bi, Bcマウスにおける皮質、海馬での遺伝子発現の変化を7週齢、16週齢で比較、検討する。有意な変動が認められた遺伝子に関しては、Real-time PCRで確認する。 実験2.メタボローム解析:人工菌叢マウスの血漿、脳(皮質、海馬)を用いてメタボローム解析を行う。 実験3.攻撃行動の評価:GF,EX-GF,Bi, Bcマウスにおける攻撃行動をアイソレーター内で評価する。
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Causes of Carryover |
マイクロアレイ、メタボローム解析はサンプルを同時に解析する必要があるが、最終年度に包括的な最終解析を予定しており、その費用に充てるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
メタボローム解析は、まずすべてのサンプルをガスクロマトグラフィー質量分析計(GC-MS)にて水溶性低分子代謝物と脂肪酸について解析する。またGC-MSに加え、液体クロマトグラフィー質量分析計による脂質、極性水溶性代謝物の解析を実施する。さらに代謝物を特定する場合にはタンデムマスを用いて構造解析を行う。
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Research Products
(6 results)