2014 Fiscal Year Annual Research Report
対称性ジメチル化修飾による免疫細胞シグナルと発生・疾患制御
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25293066
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古賀 貴子 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任助教 (90451905)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | タンパク質メチル化酵素 / シグナル伝達 / 翻訳語修飾 / 転写因子 / 生体分子医学 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画(1)「I型 PRMT5コンディショナルノックアウトマウス(cKO)の免疫系制御に着目した解析」に着手するにあたり、PRMT5欠損による胎生致死を回避して、polyI:C投与によるインターフェロン産生に応答して誘導性にPRMT5を欠損するマウス(PRMT5;Mx-1Cre)を作成し、免疫系細胞の異常を解析した。その結果、PRMT5の欠損によりB細胞、マクロファージ、好中球、顆粒球が特に減少し、造血幹細胞から特にミエロイド系列細胞への分化が障害される可能性が示唆された。また、PRMT5;Mx-1Creマウスは、poly I:C投与によってPRMT5遺伝子を欠損すると、およそ2週間で重度の貧血により死亡する。この死因を明らかにするために、、PRMT5;Mx-1Creマウスの骨髄細胞をRag欠損マウスに移植し、そご、poly I:Cを投与した。この実験により、、PRMT5;Mx-1Creの、poly I:C投与後の死因が血球系細胞に由来するのか、あるいは、基質や間質系細胞に由来するのかが明らかとなる。その結果、PRMT5;Mx-1Creマウスの骨髄細胞を移植したマウスも、、poly I:C投与後2週間で死亡することが確認された。つまり、血球系のPRMT5がマウスの生存に必須の役割を果たすことが明らかとなった。 また、[対称性ジメチル化による細胞シグナル伝達の解析」に基づき、PRMT5遺伝子を欠損するMEF細胞を樹立を試みたが、MEFもPRMT5遺伝子を欠損するにしたがって、生存不可能になることが明らかとなった。そこで、PRMT5遺伝子を欠損しても細胞死しないことがわかっている唯一の細胞系譜、破骨細胞を用いて、PRMT5の標的因子を同定することとした。現在MS解析のサンプルを調整済みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PRMT5遺伝子を欠損する細胞系譜の多くは、生存不可能となる傾向が得られている。そのため、PRMT5の標的因子を同定するための細胞を得ることが難しく、計画遂行に困難をきたした。しかしながら、唯一、PRMT5遺伝子を欠損しても生存可能な細胞種を得ることに成功したので、結果として、新たな方法で目的を達成することができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
PRMT5遺伝子を欠損しても生存可能な細胞系譜として破骨細胞を用いて、PRMT5の標的タンパク質を同定する。 着眼点としては、標的因子を細胞内シグナル伝達を担う因子と仮定した方法、および、エピジェネティック制御にかかわる因子と仮定した方法とに大別して着手する。シグナル伝達を担う因子の場合、PRMT5の酵素反応様式である対称性ジメチル化が不可されたタンパク質を抗対称性ジメチル抗体で免疫沈降により精製し、MS/MS解析を行う。エピジェネティック制御にかかわる因子の場合、ChIPSeq解析を行う。
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