2014 Fiscal Year Annual Research Report
TGF-βの標的遺伝子TMEPAIとMafKの発がん促進能に関する研究
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25293092
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
加藤 光保 筑波大学, 医学医療系, 教授 (20194855)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | TMEPAI / MAFK / GPNMB / 足場非依存性増殖 / 上皮間葉転換 / 幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
●TMEPAI, MAFK, GPNMBが足場非依存性増殖と腫瘍形成を誘導する機序を解析した。TMEPAIは、TGF-β/Smad経路の活性化を抑制するとともに、AKTの脱リン酸化を抑制し、さらにWNTシグナルにも作用することが示唆された。また、TGF-βシグナルとともにEGFシグナルも協調的にTMEPAIの発現を促進しており、肺腺がん細胞の腫瘍形成と転移に関与していることが示された。 ●MAFKは、E-cadherin発現制御領域に直接結合して上皮間葉転換(EMT)を誘導するとともに、GPNMBの発現を誘導して足場非依存性増殖と腫瘍形成を誘導することが示された。GPNMBは、SRCによって細胞質内のhemITAMにあるチロシンがリン酸化されEMT、足場非依存性増殖、腫瘍形成を誘導する。また、細胞外のKLDドメインを欠損させるとE-Cadherinの発現は抑制されるが、管状構造の形成は維持され足場非依存性増殖と腫瘍形成の誘導能は著しく抑制されることが示された。 ●TMEPAIノックアウトマウスとC18orf1のノックアウトマウスを交配し、ダブルノックアウトマウスを作製した。ダブルノックアウトマウスはほぼメンデル則に従って誕生した。今後、継時的に表現型を解析する予定である。また、Apc-Min/+マウスと交配も行なう予定である。 ●TMEPAIとMAFKに対するモノクローナル抗体を作製し、蛍光免疫染色とウエスタンブロッティングに使用可能であることを示したが、ホルマリン固定パラフィン包埋標本の安定な染色は得られていない。モノクローナル抗体に代わり、特異的な結合活性を示す環状ペプチトのスクリーニングを行い、GPNMBに特異的に結合する特殊環状ペプチドに蛍光色素をラベルすることにより、蛍光染色と生細胞におけるGPNMBの動態解析に使用可能であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
●TMEPAIの構造予測によって新規ドメインの存在が示唆され、当該ドメインの機能を実験的に確認できたことは、当初計画では予測していない成果だった。TMEPAIによるAKTのリン酸化亢進の機序については、おおむね順調に解析が進んでいる。 ●MAFKとGPNMBの機能解析はおおむね順調に進展している。GPNMBのKLDドメインとhemITAMモチーフがEMT誘導と足場非依存性増殖、腫瘍形成に必須の役割を果たしていることを示したことで今後の研究の方向性が示された。 ●Apc-Min/+マウスの腫瘍形成について、チミジン類似体であるEdUによるラベルを行ない、FACS解析をする実験手法を確立した。TMEPAIノックアウトマウス、C18orf1ノックアウトマウスとの交配を行なう計画であるがこれについてはやや進捗が遅れている。 ●TMEPAIとMAFKのモノクローナル抗体の臨床病理学研究への応用は遅れているが、GPNMBに特異的に結合する特殊環状ペプチドによって蛍光染色や生細胞におけるGPNMBの動態を解析できる可能性を示したことは、計画を上回る成果だった。
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Strategy for Future Research Activity |
●TMEPAIの作用機序について、腫瘍形成に重要なシグナルの同定を行なう。また、TMEPAIによるAKTのリン酸化亢進ならびにWNTシグナルへの作用の機序を解析する。 ●GPNMBの各種変異体を作製して、EMT誘導ならびに足場非依存性増殖、腫瘍形成に関わるドメインの同定と同定されたドメインの機能解析を行なう。 ●Apc-Min/+マウスとTMEPAIノックアウトマウス、C18orf1ノックアウトマウス、ダブルノックアウトマウスの交配を行い、Apc-Min/+マウスの大腸腫瘍形成におけるTMEPAIファミリーの作用について解析する。 ●GPNMBを始めとして、特異結合環状ペプチドを用いて特定の分子の発現と分布を解析する手法を開発する。また、培養細胞に特殊環状ペプチドを作用させて、生細胞でのGPNMBの動態解析を試みる。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] C18 ORF1: A Novel Negative Regulator of TGF-β Signaling.2014
Author(s)
2) Nakano N, Maeyama K, Sakata N, Itoh F, Akatsu R, Nakata M, Katsu Y, Ikeno S, Togawa Y, Thanh Thao Vo Nguyen TT, Watanabe Y, Kato M and Itoh S.
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Journal Title
J. Biol. Chem.
Volume: 289
Pages: 12680-12692
DOI
Peer Reviewed
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