2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25293107
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野田 岳志 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (00422410)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者はこれまでに、個々のインフルエンザウイルス粒子が8種類8本のRNA(RNP)を1セットずつ取り込むことを明らかにした。しかし、感染細胞内におけるRNPの動態に関しては、ほとんど明らかになっていない。本研究では、RNPのウイルス粒子内への取り込みに必須のウイルスタンパク質M2に着目した。M2は、膜貫通型の4量体タンパク質であり、その細胞質領域の22アミノ酸を欠損させるとRNPの取り込みが阻害されることを、申請者らが報告している(Iwatsuki-Horimot et al., J Virol, 2006) 。 これまでに、質量解析によりM2と相互作用しうる665種類の宿主因子を同定し、その中から解析ターゲットとなる宿主因子を2種類に絞った。siRNAを用いたそれらの宿主因子の発現抑制により、ウイルス増殖能は有意に減少することを明らかにした(1/100-1000程度)。これらの宿主因子の発現抑制がウイルス増殖環のどのステップを阻害するかを明らかにするために、ウイルス学的および細胞生物学的解析を行った。その結果、宿主因子GBF1については、感染後期におけるM2の細胞内輸送に関与することが明らかになった。また宿主因子Xに関しては、M2の機能と直接関与しないものの、ゲノムRNAの転写および複製に関与することが明らかになった。今後は、宿主因子とウイルスタンパク質の作用部位の同定、ゲノムRNAの転写・複製抑制メカニズムの解析等を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
同定した宿主因子の1つについて論文にて発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
宿主因子Xのクローニングを行い、over expressionおよびdominnt negative体発現の実験等を行う。また、宿主因子Xを介したシグナル伝達系がゲノムRNAの転写・複製制御に関与している可能性も考えられるため、本シグナル伝達系における宿主因子Xの上流あるいは下流の宿主因子の発現抑制等を行う。
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Causes of Carryover |
当初の計画では、25年度にM2タンパク質と相互作用する宿主因子候補を決定できなかった場合には本年度もsiRNAを用いた大規模スクリーニングを続ける予定だったため、siRNAリブラリー購入のための予算を必要としていた。しかし、これまでにM2タンパク質と相互作用し、siRNAを用いてタンパク質発現を抑制した場合にウイルス増殖を効率よく抑制する宿主因子を複数同定したため、スクリーニングを継続することなく、同定した宿主因子の機能解析を中心に行うことにした。従って、スクリーニング用の予算を機能解析用の予算に充て、次年度に使用することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、これまでに同定した宿主因子の中で、特に2種類の宿主因子に関して解析を進める。特に、これらの宿主因子のタンパク質発現をsiRNAにより抑制することで、感染細胞におけるウイルス増殖環のどの増殖ステップ(吸着・侵入・脱殻・核内輸送・ゲノム転写・複製・核外輸送・細胞質内輸送・タンパク質およびゲノムのアセンブリー・ウイルス粒子形成・出芽)に関与するかを明らかにする。本解析には、リバースジェネティクス法を用いた変異インフルエンザウイルスの作出や、各種キット類も必要となるため、それらを用いた解析のために予算を充てる。
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Research Products
(1 results)