2014 Fiscal Year Annual Research Report
IgE陽性B細胞の特異な分化・維持・動態の制御機構の解明
Project/Area Number |
25293116
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
北村 大介 東京理科大学, 生命医科学研究所, 教授 (70204914)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 免疫学 / 獲得免疫 / アレルギー / IgE / 胚中心 |
Outline of Annual Research Achievements |
IgEはアレルギーの主因であるが、IgE陽性B細胞の分化・活性化機構は不明である。また、アレルギー疾患に存在すると思われるIgE陽性B細胞の免疫記憶の実体も不明である。正常マウスのT細胞依存性免疫応答ではIgE陽性B細胞は短命のプラズマ細胞に分化しやすく記憶細胞、すなわち、記憶B(Bm)細胞や長期生存プラズマ(LP)細胞にはならないとされているが、BLNK欠損マウスではIgE陽性の記憶細胞が多数蓄積することを私たちは見出した。この結果をもとに、本研究はIgE陽性B細胞特有の分化・維持・体内動態の制御機構の解明を目標とし、私たちが確立したiGB細胞培養系を用いて、IgE発現がB細胞の短命化とプラズマ細胞分化を促進するメカニズムについて研究した。 1.内在性IgH鎖を消失可能なiGB細胞(iGBΔH)にεH鎖あるいはγ1H鎖を導入し、これらの細胞を予め免疫しておいたマウスに移入したところ、mIgG1を発現させたB細胞は胚中心B細胞として維持されるがmIgEを発現した細胞は維持されないことが分かった。εH鎖とγ1H鎖のドメイン置換変異体を用いた同様の解析から、その責任領域はεH細胞外領域のC3-C4ドメインであることが分かった。 2.IgEは抗原非依存的にBLNKと会合して、BLNKのチロシンリン酸化を誘導することが分かった。また、BLNK欠損マウス由来のB細胞では、自発的mIgEシグナルによるPLCγ2のリン酸化、IRF4の発現上昇、およびプラズマ細胞分化誘導が抑制された。 3. IgE陽性B細胞に選択的に発現する遺伝子としてCdkn2a(p16INK4aおよびp19Arf)を見出したが、今年度は、自発的mIgEシグナルが、Cdkn2a の発現を抑制するBach2の発現を抑制することでp16INK4aおよびp19Arfの発現を上昇させていることを明らかにした。p16INK4a・p19Arfはin vitroにおいてiGB細胞の生存率を低下させた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
IgEとIgG1のH鎖のドメインスワップピングおよびdeletion変異体の解析から、εH鎖内のプラズマ細胞誘導の責任領域は細胞外領域のC3-C4ドメインにあることを前年度に明らかにしたが、今年度の研究から、ほぼ同じ領域がin vivoにおけるB細胞の短命化の責任領域でもあることが分かった。しかし、このIgE C3-C4ドメインに結合する蛋白の同定には至っていない。 また、プラズマ細胞分化を誘導するIgE下流の細胞内シグナルに関してはIgEにBLNKが結合し、BLNKがリン酸化され、その下流でPLCγ2活性化を介してIRF4の発現が誘導されることが分かった。さらに、自発的IgEシグナルによる、Bach2発現抑制を介したp16INK4a/p19Arfの発現誘導がB細胞の短命化を惹起していることを明らかにした。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.IgE細胞外領域-H-2膜貫通ドメイン融合蛋白をiGB細胞に発現させ、これと結合する分子を免疫沈降・質量分析法により特定する。その蛋白とIgEとの結合を免疫沈降法などにより確認した上で、iGB細胞においてその蛋白の発現を変化させた時の、IgE陽性細胞のプラズマ細胞分化および短命化への影響を調べる。 2.自発的IgEシグナルが形成されるメカニズムとして、膜型IgEが自己架橋して、あるいは、1.で探索している結合蛋白を介して架橋されて、2量体ないし多量体を形成する可能性がある。この可能性を検証するために、3種類のタグを付加したεH鎖をB細胞に発現させ、2つのタグに対する抗体で連続的に免疫沈降を行い、3種類のεH鎖が共沈殿するかどうか、すなわち、少なくとも2つのIgEが互いに結合しているかどうかを証明する。
|
Causes of Carryover |
理由 前年度からの持ち越しがあったが、消耗品はほぼ例年並みの使用量であった。また、研究打合わせの旅費、実験補助、学術誌投稿料を使う必要がなかった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
理由 さらに研究を加速して遂行するために必要な消耗品を購入する。具体的には、試薬類、抗体、サイトカイン、マウス、ディスポーザブル・プラスティック器具類を購入する。また、質量分析を外注するのに用いる。
|
Research Products
(6 results)
-
[Journal Article] JNK Regulatory Molecule G5PR Induces IgG Autoantibody-Producing Plasmablasts from Peritoneal B1a Cells.2015
Author(s)
Kitabatake, M., Soma, M., Zhang, T., Kuwahara, K., Fukushima, Y., Nojima, T., Kitamura, D. and Sakaguchi, N.
-
Journal Title
The Journal of Immunology
Volume: 194
Pages: 1480-1488
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
-