2014 Fiscal Year Annual Research Report
アンチトロンビン-レジスタンスの分子病態解明とその血栓性素因マウスモデル創生解析
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25293129
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小嶋 哲人 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40161913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松下 正 名古屋大学, 医学部附属病院, 教授 (30314008)
高木 明 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30135371)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アンチトロンビン・レジスタンス(ATR) / トロンビン / プロトロンビン異常症 / 遺伝性血栓症 / R593Lプロトロンビン-マウス / 一塩基置換 / トロンボモジュリン/プロテインC経路 / 相同組換え |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、最近我々の発見したアンチトロンビン・レジスタンス(ATR)を示すトロンビンを生ずるプロトロンビン異常症(c.1787G>T, p.R596L)の概念に基づき、原因不明の遺伝性血栓症例での新規ATR症例の検索とその遺伝子変異同定を行うとともに、組換え変異体解析による他のプロトロンビン変異体でのATR惹起性検索による新たなATR候補変異解析を行うとともに、R593L変異(ヒト分子596Rはマウス分子593Rに相当)プロトロンビンノックイン-マウス(R593Lプロトロンビン-マウス)の作製解析によりin vivo でのATRの病態解析を行い、血栓性素因・ATRの分子病態を解明することを目的とする。今年度は、血漿検体を用いた迅速ATR検出スクリーニング法(Murata et al.: Thromb Res. 2014)を用いたAT-R新規症例の検索とその遺伝子変異の同定解析を行い、やはり原因不明であった日本人静脈血栓症家系でのATRを2家系で検出(いずれもセルビア型変異[c.1787G>A, p.R596Q]を同定)した。また、596Rの一塩基置換により生ずるミスセンス変異体では、TAT形成能が悪くATRを示すことが明らかとなった(投稿準備中)。一方、ATRプロトロンビン変異(R596L)の生理的凝固制御機構トロンボモジュリン/プロテインC経路への影響を検討したところ、変異型トロンビンはトロンボモジュリンによるフィブリン凝固抑制に抵抗性を示したが、プロテインC活性化亢進能は保たれていた(Takagi et al.: Thromb Res. 2014)。さらに、R593Lプロトロンビン-マウス用のターゲティングベクターを作製し、ES細胞での相同組換えにて得られたキメラマウス作製とC58BL6マウスを交配してヘテロマウスを得て、その交配により目的のLoxP配列とネオマイシン耐性遺伝子を含むR593Lプロトロンビン-マウス(ヘテロマウス)R593Lへテロマウスを樹立することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
596Rの一塩基置換により生ずるミスセンス変異体では、TAT形成能が悪くATRを示すことが明らかとなり、現在投稿準備中である。 また、新たな日本人所脈血栓症家系でATR症例を同定した。 さらに、R593L プロトロンビン-ノックインマウス作製は順調に進み、LoxP配列とネオマイシン耐性遺伝子を含むR593Lプロトロンビン-マウス(ヘテロマウス)R593Lへテロマウスを樹立することに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、596R一塩基置換により生ずるミスセンス変異体解析の論文化と、さらなる新たなATR症例の検索を行う。また、R593L プロトロンビン-ノックインのヘテロマウスをCre recombinase発現マウスと交配しNeo配列を取り除いたR593Lプロトロンビン-マウス(ヘテロ)を作製し、さらにヘテロ同士の交配を続けR593Lプロトロンビン-ホモマウスを作製し、R596L変異プロトロンビンのマウス発生過程における影響を解析する。 具体的には以下の通りである。 1)平成26年度に引き続き、未だ原因特定に至っていない遺伝性血栓症におけるATR血栓性素因の有無について、血漿検体を用いてのATR検出解析、ならびにそれぞれ組換え型蛋白(変異体)を作成して詳細なATRの分子病態解析を行う。 2)平成26年度に引き続き、プロトロンビン596Rおよび599Kでのミスセンス変異体由来トロンビンのTAT形成能やトロンビン生成試験を解析し、ATRを示す変異体の同定解析を行うとともに、それぞれトロンボモジュリンとの結合能、プロテインC活性化能を野生型由来トロンビンと順次比較検討する。 3)平成26年度に引き続き、得られたNeo配列を取り除いたR596Lプロトロンビン-マウス(ヘテロ)を作製し,ヘテロマウス(あるいはホモマウス)において、下大静脈でのFeCl3処置等による血栓形成能を定量し、野生型マウスのそれと比較検討を行う。また、種々薬剤(未分画ヘパリン、低分子量へパリン、フォンダパリヌクス、抗Xa阻害剤、抗IIa阻害剤)の前投与における各血栓形成能を未治療群とで比較検討を行う。
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Causes of Carryover |
H25年度にH26年度基金を前倒しして使用した理由にも記載したように、マウス作製の外部依頼事業が早くすすんだため支払いをH25に前倒し使用したもので、H27年度分をH26年度に前倒し申請していないにもかかわらず、自動的に前倒し配分がされて来たためです。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
もともとのH26の基金分50万円は前年度(H25)に事業前倒しで使用済みで、H27分が自動的にH26に配分されて来たもので、H27に使用予定である。
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Research Products
(15 results)
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[Journal Article] RhoF Promotes Murine Marginal Zone B Cell Development.2014
Author(s)
Kishimoto M, Matsuda T, Yanase S, Katsumi A, Sezuki N, Ikejiri M, Takagi A, Ikawa M, Kojima T, Kunishima S, Kiyoi H, Naoe T, Matsushita T, Maruyama M
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Journal Title
Nagoya J Med Sci.
Volume: 76
Pages: 293-305
Peer Reviewed / Open Access
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