2014 Fiscal Year Annual Research Report
新規腫瘍検査法評価と未知なるバイオマーカー因子同定
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25293130
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
茶野 徳宏 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (40346028)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | バイオマーカー / 癌 / 臨床検査 |
Outline of Annual Research Achievements |
腫瘍検査学の更なる革新を意図し、我々がこれまで独自に開発してきた腫瘍マーカー因子の臨床医学的検証を行った。とともに、ゲノム変異モデルマウスを用いた未知の腫瘍検査バイオマーカー因子の探索、同定を、併行して行ってきた。一方で、正常細胞系列と癌細胞系列とに於いて、比較発現解析、主成分分析を行い、癌細胞に特異的発現を示す発現分子10種を同定した。 1.独自開発の腫瘍バイオマーカーについてのcohort studies: 腫瘍バイオマーカーの検証として、口腔扁平上皮の癌化におけるp62/SQSTM1の役割とその臨床的意義を検討した。口腔扁平上皮癌、異形成上皮、正常上皮においてp62の免疫組織化学的評価を行い、ヒト口腔扁平上皮癌細胞株を用いたp62の生物学的機能解析も行った。本内容は既に2013年度に発表し得た。一方で、腎癌に於ける飢餓細胞死のバイオマーカーとしてN-GlcNAc2蛋白の蓄積を発見し得た。本内容はがん細胞に於ける特異的代謝と放射線治療抵抗性を関連づけるマーカーとして、注目されつつある。本内容は2014年度に発表した。 2.RB1CC1 K0変異マウスに於ける胎生致死を救済する長寿因子Sの探索、同定: ゲノム変異モデルマウスを用いた未知の腫瘍検査バイオマーカー因子の探索、同定については、今後、責任領域の更なる解析を進め、未知のバイオマーカー、長寿因子同定に至る計画である。 3.癌細胞特異的発現分子を標的とする新規腫瘍検査法、治療法の開発: 骨肉腫、乳癌細胞系列と正常線維芽細胞、間葉系幹細胞系列を比較解析し、主成分分析を行うことによって、癌細胞系列に特異的発現を示す分子10種を同定した。これら癌細胞特異的発現分子は新規性が高く、特許申請を進める。とともに、今後、これら分子を応用した分子診断法、標的分子治療法を開発して行く予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
腫瘍バイオマーカーの検証として、頭頸部癌に於けるp62/SQSTM1の検証を行い得、社会的にも大きな注目を浴びた。また、腎癌に於ける細胞死の新しいバイオマーカーとしてN-GlcNAc2蛋白の蓄積を発見し、報告し得た。 一方、RB1CC1 K0変異モデルマウスを用いた未知の腫瘍検査バイオマ一カー因子の探索、同定については、その責任遺伝子領域を絞りつつ、解析を進めている。 他方、正常細胞系列と癌細胞系列とに於いて、比較発現解析、主成分分析を行い、癌細胞に特異的発現を示す発現分子10種を同定し、これらについて、特許申請を進めている。 研究計画の2つの柱である、バイオマ一カーのcohort検証、変異マウスを使った未知の長寿因子同定、は、多少の振幅はあるものの、両者ともに概ね計画に沿って進行しているものと考える。これらとは別に、新たな癌細胞特異的発現分子を同定し、これら分子を基にした癌に対する新規診断法、標的治療法を開発しようとしており、全く新たな展開も生みつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
各種腫瘍バイオマーカーのcohort studiesについては、一旦目処を付けて、もう一つの柱である、未知の長寿因子同定に傾重して計画を更に進行させる。 また、新たに同定した癌細胞特異的発現分子10種を基に、癌に対する全く新規の分子診断法、標的治療法を開発して行く。
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Causes of Carryover |
年度内の予算執行に際し、研究消耗物品を購入するにあたり、端数として発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
少額であり、平成27年度の研究遂行に際し、併用して使用する。
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