2014 Fiscal Year Annual Research Report
婦人科系腫瘍由来エクソソームの特異的かつ高感度検出法の開発研究
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25293133
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
加藤 和則 東洋大学, 理工学部, 教授 (60233780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 聖子 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10253527)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | エクソソーム / 腫瘍マーカー / 卵巣癌 / EphA2 / EpCAM / ナノファイバー / 抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度の研究目標は昨年度までの実験によって蓄積されたノウハウに基づき、特に有望な標的抗原および抗体を用いて、婦人科系癌から産生されるエクソソーム(テクソソーム)の性状解析を中心に研究を実施した。その結果フローサイトメトリーと多重蛍光標識抗体によって、テクソソーム(腫瘍由来のエクソソーム)を癌細胞培養上清から検出することに成功した。検出抗体はエクソソームマーカーであるCD9またはCD63と腫瘍由来抗原であるCD147とEpCAMに対する抗体を用いて検出した。現在ナノマテリアルを用いてテクソソームを濃縮する技術を開発中である。今後は患者血清中に同様のテクソソームが検出されるかを検討する予定である。 また新たな腫瘍マーカーの同定に成功した。可溶化EphA2をpgオーダーで計測できる測定系を開発し、卵巣癌患者、肺癌患者および前立腺がん患者で有意に高値を示すことを確認した。この研究成果は日本癌学会およびアメリカ癌学会で発表し、現在論文を投稿中である。また可溶化B7-H3を測定するシステムを構築しがん患者血清で検討した結果、卵巣癌患者で高値を示すことが判明した。今後は子宮体癌患者の血清等で検討する予定である。 この研究成果をもとにEphA2およびB7-H3がテクソソームの検出に有用であるかを検討した結果、弱いながらもテクソソーム表面に発現していることが明らかとなった。これら新規分子をより高感度で検出するための蛍光色素およびナノデバイスを現在検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究はおおむね順調に推移している。研究計画にあるように既にいくつかの新規腫瘍マーカー(EphA2, B7-H3)の同定と高感度測定系の樹立に成功しており、婦人科系がん患者血清を用いて、その有用性を解析している。また本研究は東洋大学生命科学部・食環境科学部・総合情報学部・理工学部のヒト及びヒト由来物質を対象とした研究に関する倫理審査委員会の承認を受けており、倫理面でも計画通りである。今後は計画にあるようにナノファイバーを用いた濃縮・検出感度の向上を目指す予定で、既にEpCAM抗体結合ナノファイバーの作成は終了している。研究成果は国内外の学会で発表済みであるが、学術論文の発表が若干遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度はこれまでの研究成果をまとめるだけではなく、実用化に向けてさらに加速していきたい。そのためには産学連携の研究が不可欠で、現在診断薬およびバイオ関係企業数社と交渉中である。またより新規性・進歩性のある成果は特許出願を目指す予定である。また婦人科系がん患者血清の入手に関しては次年度から九州大学の加藤聖子教授を分担研究者から削除したが、既に倫理委員会で承認済みのメーカーから患者情報ともに管理されている血清を購入し検討する予定である。
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Causes of Carryover |
26年度まではテクソソームおよび血清バイオマーカーの測定システムの構築などの基礎研究に集約していたために機器購入および臨床血清の購入がされていなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度の早い時期(6月)にプレート洗浄機の備品購入と、臨床血清の購入を計画しており、あわせて250万円程度になる予定。
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Research Products
(6 results)