2013 Fiscal Year Annual Research Report
エストロゲン関連遺伝子と喫煙との交互作用に関する肺がんのゲノム疫学研究
Project/Area Number |
25293143
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
清原 千香子 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00169963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 洋一 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20172356)
高山 浩一 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50274444)
堀内 孝彦 九州大学, 大学病院, 教授 (90219212)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 肺がん / ゲノム疫学 / 遺伝子多型 / 国際共同研究 / 交互作用 / 喫煙 / エストロゲン |
Research Abstract |
本研究は2004年より開始されたInternational Lung Cancer Consortium (ILCCO)国際共同研究の一環として、日本人肺がんにおける性ホルモン関連遺伝子の役割と喫煙と性ホルモン関連遺伝子多型の交互作用を明らかにすることを目的として行った。本年度はエストロゲンの代謝に関連する遺伝子の多型であるCYP1A1 rs464690、rs1048943とGSTP1 rs1695およびNQO1 rs1800566の遺伝子多型と肺がんとの関連性について解析した。これらの遺伝子多型は全て機能的であると報告されている。検討したすべて遺伝子多型は、対照群において、Hardy-Weinberg平衡からのずれは認められなかった。majorアレル/majorアレル 型、majorアレル/minorアレル型およびminorアレル/minorアレル型の間に有意な傾向性はいずれの遺伝子多型でも認められた。性、年齢、喫煙、飲酒および教育歴を調整した少なくとも1つのminorアレルを持つ場合のmajorアレル/major アレル型に対するオッズ比とその95% 信頼区間はCYP1A1 rs464690、rs1048943とGSTP1 rs1695およびNQO1 rs1800566においてそれぞれ1.72 (1.25 - 2.38)、1.40 (1.02 - 1.92) 、1.48 (1.04 - 2.11)および0.62 (0.45 - 0.86) であった。喫煙とCYP1A1 rs1048943遺伝子多型 (P = 0.056)の交互作用のみが有意であった(交互作用のPは検出力が低いのでP<0.1を統計学的に有意であるとした)。プレグネノロンは体内であらゆるホルモンに変換されるプロホルモンである。CYP1A1はコレステロールからプレグネノロンへの合成に関与する重要な酵素である。この遺伝子の多型は肺がん発症において重要な役割を果たしていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ400名ずつの肺がん症例と対照について、機能的でかつ日本人においてminor アレルの頻度が0.1以上ある遺伝子多型について文献検索を行い、4つの遺伝子多型についての解析を終えた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究結果から、エストロゲンの代謝に関連する遺伝子であるCYP1A1 rs1048943遺伝子多型は肺がん発症に重要な役割を果たしていることが示された。今後はエストロゲンの生合成に関連する遺伝子(CYP17A1やCYP19A1)やエストロゲン受容体遺伝子(EESR1やESR2)についての解析行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度から平成26年度の繰り越し金は60631円であった。これは分担研究者への分担金として10万円を準備していたが、その分担研究者の分担金使用が10万円に満たなかったためである。 60631円と大きな繰り越しではないので、使用計画には変更は殆ど生じない。
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